子牛の管理

 とにかく、牛の管理をやりやすくしなければならない。牛舎の周りを歩く耳票無し子牛が、いつ誰から生まれた何という子牛なのか?もう離乳時期でもあり、母牛といる時間はとても少なくなっていて、途中から見始めた俺には、全然判らない。放牧地の子牛も、離乳できる月齢になっているが、配合飼料を食べていない状態で、時期が来たから離乳では、ショックが大きすぎる。一旦、牛舎下放牧地に移動させ、配合飼料の盗み食いをさせてからでないと、胃の成長が追いつかない。
 焦ってもしょうがないので、順を追って一つ一つ解決していきたい。

 とりあえず、静三郎とシズカを、牛舎から牛舎脇放牧地に出した。耳票がないので、目印をつけておいた。
 開いた部屋に、サツキとその母親を入れた。
 サツキの母親は、牝なのにまるで尿石の雄のような、チョロチョロと切れの悪いオシッコをする。腎臓か膀胱が悪いのだろうか?かなり心配。
 子牛たちも、部屋を一つずつ隣に移動させ、開いた端の部屋に、よくエサを食べられるようになった子牛四頭を入れた。
 この移動により、電柱牛舎には、元ローズ部屋を入れて三部屋の空きが出来た。それぞれ掃除して、ローズの部屋は塩素消毒をして、床を洗い流した。

 ローズと言えば、昨夜は堆肥小屋で過ごしたようだ。夜中に見回りに来たときも、堆肥小屋の方で、ブヒブヒ言っていた。
 朝、新しい柵の中に、水とエサを入れて、黙って他の仕事をしていたら、我慢できなくなったローズは、柵の中に入って水とエサを取っていた。そのうち慣れるでしょう。

 大きい牛舎の床は、俺が来てから、一度も敷きワラ交換をしていない。
 頭数が多い部屋では、エサの前がちょっと湿っぽくなっており、小さな虫が湧いていた。梅雨になると、床がドロドロになると聞いていたので、食べ残しの牧草クズや敷きワラを、意識して多目に投入してきた。今の段階では床は乾き気味だ。これで、EMボカシを沢山作って撒けたら、踏み込み式の牛床に出来ないだろうか?設置してあった扇風機の角度を調節し、床に風邪を送れるようにしたが、水分をコントロールできたら、敷きワラが少なくても、快適な牛舎になると信じて、ちょっと頑張ってみようと思っている。駄目だったら、機械で一気に剥がすことが出来るのだ。
 寝床になる場所にも、敷きワラをしいてやった。

 牛舎の部屋が開いたので、離乳小屋の子牛を大きい物から三頭抽出し、部屋に入れた。

 師匠に引き取ってもらった、盲目の子牛キサラギは、元気に育っているそうだ。他の牛達も大きくなったらしい。ちょっと忘れかけていたことを、思い出さされた。
 北海道では、ようやく桜の季節とか・・・。