カッパ

 弱雨という予報だったが、力一杯降っていた。集落では風を感じなかったのに、牧場の高台へと登るにしたがい、激しく吹き荒れていた。昨日のうちに、揚水ポンプを作動させておいて良かった。
 今日は、カッパを着ないとずぶ濡れだ。カッパにもいろいろある。
 安物のオートバイ用のカッパは、猛烈な風圧がかかっても、水の侵入を防ぐように作られていて、ちょっと体を動かすと、汗で中からずぶ濡れになる。先日使ったが、すぐに脱いでしまった。
 今日は、山登り時代に買った、ゴアテックスの高級品だ。これは、防水性だけでなく、透湿性に優れていて、体を動かしても蒸れにくい。
 でも、俺は仕事をしているときは夢中になるので、服のことまで気を配れないんだ。体を擦っても、引っかけても、目の前の仕事をしようとするので、あっという間にボロボロだろう。

 そんな俺だが、雨が降る前に機械を倉庫にしまうのは、ちゃんとやった。亜硫酸を含んだ雨は、金属をあっという間に腐食する。北海道から持ち込んだクボタも、何とか潜り込める倉庫があって良かった。
 古い機械や部品取りを整理したら、もうちょっと広く使えると思おう。この島には、雑品屋さんが無くて残念だ。

 外仕事が出来ないので、切り草をいつもより多目に作った。チガヤなのだが、子牛たちは驚くほどよく食べる。とても嗜好性は良いようだ。
 作業をしていたら、床に水が浸みだしていた。屋根から落ちた雨が、すみやかに流れていかない為に、浸みてきたようだ。雨樋を着けたら、ちょっとは違うだろうか?その水をタンクに溜めて、利用できないかな?
 発情観察に行ったら、大浦放牧地で、3頭帰ってこなかった。様子を見るために、奥地に入ってみた。奥が深く、牧区を分けるために柵も作られていたが、今はバラ線が地面に落ちていた。後で回収に来ないと、アブナイかな?さらに奥地に行くと、立派な水飲み施設もあった。
 全部見て回るには、馬が必要かな?