離乳

 雨は降っていないが、風が強い日だった。
 そんな日でも、出漁した漁師さんがいた。セミエビという、伊勢エビより美味しいエビが捕れていた。小さなサメも沢山かかっていた。
 サメは、身にアンモニアを含むため、匂いがキツイ。だが、そのアンモニアのために腐敗しにくく、交通の発達する前は、中国地方の山奥では海の幸として珍重されたという。すり身にすれば、薩摩揚げとして使えるというので、とりあえず頂いた。塩焼き用に、サメに食いちぎられたカスミアジと黄色いスジがある魚をもらった。

 昨日熱を出していた子牛は、元気にエサを食べていた。
 放牧地にいる離乳時期の子を、連れに行った。呼んでもトレーラーには乗ってくれないので、追い込み柵の中にエサで呼び込み、棒に輪を作ったロープを着けて、首にかけて捕まえる。今日は、エサで誘っても親牛達がなかなか柵に入ってこず、その子牛たちも当然動かなかった。仕方ないので、柵の外で遊んでいる離乳子牛をロープで捕まえた。

 北海道では一人で牛を引いていたので、押しても引いても動かない牛は、多少荒っぽくても無理矢理引っ張ったり押したりして、とりあえず何が何でも動かしていた。そうしないと、仕事にならない。
 確保した子牛は、モクシ(オモテ)を着けて引っ張りやすくする。モクシを着けても、動かない子牛もいる。時間や気持にゆとりがあれば、ジックリ待つことだって出来る。だが、夕方から雨が降る予報だったので、そんなにゆっくりしていられない。
 大浦から三頭、灯台下から二頭の子牛を、離乳用の牛舎に入れた。すぐに、耳票を取り付ける。離乳時期にまで大きくなると、暴れ方もハンパではない。

 2WDのフォードに、ロールベーラーを取り付けた。小型だが、カッティングロールベーラーだ。始め動かないので焦ったが、コードの接触が悪かった。動かしてみると、意外に単純で使いやすかった。
 3個の、まだ半乾きのロールが出来た。ラッピングする予定だったが、サングラスしかないのに暗くなってしまったので、諦めた。すごくゆる巻きなので、熱を持って黴びる前に使い切るだろう。

 帰りが遅くなったので、魚は明日だ。