M7950受難

 朝から、体中が痛かった。背筋を伸ばすことが出来ず、直立二足歩行を始めたばかりの猿人のような歩き方になった。
 今日は、出荷する牛の妊娠鑑定の日だった。20個のスタンチョンしかない牛舎に、26頭の牛を繋いだ。
 明後日には出荷なのだが、子牛を研く暇がない。お尻に運古をつけたまた出荷となりそうだ。
 牧草を買ってくれた人が、トラックで取りに来た。リムのネジが緩んでいるM7950で、カタカタという音を気にしながら、ロールを積んだ。調子が悪い機械を、欺し欺し使うのは気分が悪い。そう思いつつ、2ラウンド目の牧草を積んでいたら、突然エンストした。何とガス欠だ。俺のトラクターは、燃料計が壊れているのばかりで、気をつけていないと燃料切れになる。判っていて、やってしまうヤツのことを、アホという。
 古いディーゼルエンジンは、燃料切れになると、エア抜きしないとかからなくなるのだ。一応エア抜き操作をしたのだが、全然手応えがなかった。セルを回しても、排気管から白い煙が出ない(燃料が煎っていない。手応えのない仕事って、だんだん悲しくなるのだ。セルを回し続けたため、バッテリーが上がってしまい、充電しながらやる羽目になった。
 獣医さんがやってきた。一応、流産した牛は居なかった。あとか種付けした牛も留まっており、サチコは再検査となった。検査しなければならないはずのシマコを、間違えて外に出していた。明日再検査。