手巻き寿司

 家が大きく揺れるほどの、猛烈な突風が吹いていた。たぶん、瞬間最大風速は30m/s以上。
 牛舎に行ったら、元八郎と蜜五郎が居なかった。居そうな場所を捜索してみたが、全然見あたらなかった。仕方ないので、捜索を諦め、エサを作り始めた。出来たエサを幸五郎のところに持っていったら、なぜか3頭に増えていた。元八郎と蜜五郎は、自分の部屋を脱走したと、幸五郎の部屋に押し入ったのだ。
 牛舎の端から端までの移動だが、元八郎は素直に引かれ、自分の部屋に帰った。だが、蜜五郎は、徹底的に抵抗し、引っ張っていくのは大変だった。

 昼は、久しぶりの外食となった。俺が町を出て行く話をしたら、このところすごい勢いで人が少なくなっているのを感じていると言われた。そして、また一人お客が減ってしまうと・・・そう言われるほどは、最近行っていなかったけどね。
 俺は、午後から糞出しをしたり、ロールを放牧地に運んだりした。顔にくっつくような湿った雪で、前を向いているのが辛かった。
 せっかく瀬棚まで来たのに、一日天気が悪かった。それでも、VIPは外に出てきて、ローズや子牛やジョンを御覧になった。ローズの大きさには引いておられたが、気さくなジョンを大変お気に召したようであった。
 牛舎の帰り道、ゴロウは大きな棒を得意そうに運び、カイトに邪魔されていた。
 夜は、手巻き寿司だ。毎晩ご馳走で申し訳ないと言いつつ、お腹いっぱい食べたので、予は大変満足であった。