忙しい日

yonemiki2010-03-19

 転出準備で、忙しい。牛のこと、機械のこと、家族のこと(ゴロウやカイトやローズ・・・)。考えなければならないことが、沢山あるのだ。全部一人で決められることではなく、相手があることなので、電話が鳴りっぱなしだ。一日に、こんなに電話したのは、初めてではないだろうか?
 フクの毛を取った。キサラギの父親は、平準化事業で選ばれた種雄牛候補牛だ。母親の遺伝子を調べるために、毛根からDNAを採取するのだ。
 フクは、産後間もないので、まだ種付けをしていない。そのため、出荷したら肉になることが決定してしまった。転出を、あと一ヶ月延ばせば、みんな妊娠させて出荷できるかもしれないが、そうもしていられないのだ。可哀想だが、ごめん。
 機械を買った人が、引き取りに来た。ヘタに置いておくと、あとから来た人がもっと高い値で買いたいと言ったりして、『やっぱり売らね!』といったトラブルになっりするらしい。
 雑品みたいな機械に苦しんだ俺は、ちゃんと使える機械にあこがれ、苦労して手に入れたものだ。買ってくれるのはとてもあり難いことなのに、買われていく後ろ姿は、なかなか寂しかった。
 機械を買ってくれた人には、それぞれの機械の使い方や癖を教えた。農機具は、まだまだ完成形にはほど遠く、使い方を誤るとすぐに壊れ、莫大な修理費がかかる。世話になった人たちが、俺の機械を買ったら故障して困ったなんて事になったら、俺も困ってしまうのだ。
 仕込んであったベーコンを、燻煙した。この家で作る、最後のベーコンだ。今回は、制作者の特権である、出来たてベーコンの味見をしなかった。このスモーカーは、これで燃えないゴミとなる。
 草架は、移動させずに使い続けると、周りの雪が踏み固められ、だんだん埋まってくる。すると、写真上のような事件が起こる。本人では身動きが取れず、人力では助けることが出来ない。仕方ないので、トラクターのローダーで吊り上げ、救出することが出来た。
 現在4頭いる馬だが、サラブレッドは長距離移動に耐えられないし、暑いところでの生活が可哀想ということで、マロンとブランカは馬の会に返却することになった。俺には、どうすることも出来ない。達者でな!
 ポパイとソックスは、俺と一緒に行くのだ。トラックをチャーターし、ローズやジョン、ゴロウにカイトを乗せたハイラックスが、そのトラックに伴走する。フェリーに乗る時間を調べたり、いろいろ頭を使って疲れたのだ。
 疲れた頭を癒すには、黒毛和牛が一番イイのだ。
 実は、ベーコンの肉を頼むとき、便乗で黒毛和牛のバラ肉も一緒に頼んだのだ。冷凍庫には、意外に沢山の和牛♡ 冷凍すると味が落ちると言う人もいるが、味を決定的に左右するのは火の通し方だ。冷凍肉を、一日かけて冷蔵庫の中で解凍した物は、生とほとんど区別がつかない(俺には)。だから、挫けそうなときのために、いつもストックしてあるのだ。でも、引っ越しするためには、冷蔵庫を空っぽにしなければならない。何と贅沢な悩み!
 熱い鉄板に肉を乗せ、表面をカリッと中はレアに焼き上げる。カリッとした表面が香ばしく、熱の通ったレアが口の中でとろけて、上品な甘みが口に広がる。
 あ"〜書いていて、ヨダレが出てきた。