農場視察♡

 寝る時間って-結構長く、毎日寝るものだから快適に過ごしたい。そう思って、シモンズのポケットコイルベッドを使って十数年。掛け布団は、エクストラゴールドのグースダウンだ。これらは、快適な眠りを約束してくれるのだが、困ったこともある。旅に出たとき、寝具の寝心地が悪く、背中が痛くて眠れないのだ。
 素泊まり3500円のホテルで、快適なベッドなど期待する方がアホだが、それにしてもひどい。それに、ここ掛け布団の、重くて寒いこと!
 朝風呂を浴び、薄暗いうちにチェックアウトをして、町に出かけた。
 まず目を惹いたのが、魚屋だ。ハマチやカンパチ、天然物のマダイにイシガキダイ!俺にとって、懐かしい南の海の幸は、見ているだけで嬉しくなってしまう。魚屋さんと話し込んだ。旅先で、俺は社交的になる。積極的に人と関わらないと、深みのある旅は出来ない。
 300円の朝食を食べた後、さらに町中を歩く。この町独特な物が、歩くことで見えてくる。見物しながらも、俺は早歩きだ。
 港には、早く着きすぎてしまった。船を見たり、海を見たり・・・船を見たり、海を見たり・・・。待っていれば、時間は過ぎるのだ。船に乗り込む。


 
船内では、いろいろ会話が弾んだのだが、その内容は秘密なのだ。
 数時間後、目的地である知り合いの農場に着いた。
 広い放牧地をバラ線で囲ってあり、そこに黒毛和牛が放牧されていた。子牛も一緒だ。

 北海道では、一面雪に覆われているこの時期、笹を主体とした植物が地表を覆い、牛はそれを食べていた。
 この笹は、3〜5m程の高さに伸びるのだが、放牧地内では牛に食われるので、それほど伸びない。ときどき、ブッシュチョッパーでスジ刈りするらしい。それにしても、これだけの面積の笹を始めに刈り倒し、バラ線で囲い込むなんて、とてつもない労働力だ。
 採草地には、チガヤという栄養価の高い草が植わっており、平らだった。子牛が脱走して、新芽をついばんでいた。そして冬の採草地には、イタリアンブルーグラスが伸び、刈り取りを待っていた。この平らな採草地を作るために、大型のブルトーザーを個人で買い、何日も苦労したらしい。
 視察中に、牛が発情しているのを発見!棒の先にロープの輪っかを取り付け、追い込みエリアに追い込んだ牛を捕まえる。鼻輪をしばり、枠場に繋いで現場で種付けをするのだ。

 牛舎に行った。壁などは無く、風通しがいいように作られていた。ボブキャットという小型のホイルローダーで糞出しをするようになっており、使いやすそうだった。哺乳ロボットもあったが、まだ使われていなかった。敷きワラが足りないそうだが、一ヶ月も替えていないと言う床は、乾いていた。
 放牧が前提なので、牛の頭数に対し牛舎が狭いと思った。敷き料不足から、糞出しも少なくなるので、堆肥舎も狭い。
 共同機械小屋を見せてもらったら、マッセーファーガソンの大型トラクターが光っていた。まだ新車だ。隣にはケースのカッティングロールベーラーがピカピカしていた。使っていないらしい。他にも、牧草播種機、草地に転がったロールをラップする機械もあった。いずれも垂涎物だ!勿体ないことに、現在使える人が居ないらしい。また、この大型機械で牧草を丸めても、それを保管する乾草庫が無かった。
 民宿に帰ったが、昼間視察させてもらった農場や農機のことが頭を巡り、興奮して眠れなかった。しかたないので、起き上がって自分なりの考えをまとめたりした。