日本縦断作戦!

 早朝から朝牛舎を始め、7時には出発したのだ。函館空港まで、冬でも二時間半見れば十分着く。・・・いつもなら・・・
 だが、吹雪で大荒れの峠では、三台の車がクラッシュしていた。スタッドレスタイヤが効かない路面に怖じ気づいて、皆さん極低速走行をしておられ、時がどんどん過ぎていく。しかも、アホな俺は軽油を昨日入れていない。途中で空っぽになる危険を冒しての峠越えを、一般に蛮勇と言う。
 国道に出てからも、40km/hで走っている車が多く、俺のあせりが増大する。駒ヶ岳の付近でさらに吹雪が強まり、飛行機の時間内に着くのが絶望的となった。変更の効くチケットだが、時間を過ぎてからのキャンセルは出来ない。悩みながら、流れが良くなった道を飛ばし、とりあえず先を急ぐ。
 だが、函館環状線にたどり着いたところで時間切れとなり、JALにキャンセルの電話をした。次の飛行機にしたら、今日中に目的地にたどり着けない!ANAに電話して、何とか最終便に接続する飛行機を予約し直した。
 ようやく空港にたどり着き、キャンセルしたチケットの払い戻しと、ANAに変更した便のお金を支払った。戻ってくるお金は、正規料金で買ったANAの半分(T_T)/~~~  遅刻は、お金がかかるのだ。
 ものすごく久しぶりに、空の人となる。俺は、飛行機が飛び立つときの加速感が好きだ。
 本を読んだり、スチュワーデスさんに見とれたり・・・。
 羽田空港に着陸態勢に入り、まさにタッチダウンというところで、機は降下を止めて上昇した。何があったのだろう?東京湾を一周し、再び着陸態勢。今度は無事着陸。

 予想した機体の動きに反するGがかかると、何があったのだろうと不安になるのは、俺だけだろうか?みんな、平気そうだった。
 羽田空港では、ANAとJALの建物が離れていて、両社間の乗り継ぎはとても不便である。
 ようやく到着し、乗れる当てが着いたところで、カレー屋さんに入った。しかし、外食の高いこと!これだけの金額なら、自宅では和牛が食えるぞ!
 文句を言っても、誰も聞いてくれないのだ。再び、空の人になった。
 空の上から見るとよく判るのだが、東京の空気の汚いこと!地表を、灰色のスモッグが包み込み、その中に沢山の人々が生活している。俺には都会はなじめない。
 沈んでいく夕日を、空の上から見る。やがて、窓の外は真っ暗になった。眼下に、町の灯りが見えた。
 7時過ぎ、目的の空港にたどり着いた。空港バスで、町まで向かう。隣に座った人に話しかけたら、とても驚かれたが、ちゃんと話し相手になっていただいた。一人旅は、黙っていては面白くない。
 素泊まり3500円のホテルに到着し、親父の知り合いの方に、電話をした。遅刻していなければ、大事な話があったのだ。
 フロントで、美味しい居酒屋を教えてもらった。居酒屋って、ずっと憧れていたのだ。呆けた頭で代金を計算をしながら(貧乏症)、懐かしの味を堪能する。