退屈はしない日々

 毎日、なんやかんや事件があって、退屈する暇がない。
 寒気が緩むというので、凍結した簡易水洗のパイプを溶かすため、石油ファンヒーターを持ち出した。牛舎をやる間、パイプに温風を送り続けた。
 生後4日のキサラギを、補助して立たせてみた。これまでと違い、今日は本気で立った。一度転んだ後、自力で立ち上がり、俺にミルクをねだった。目は見えていないのだが、気配がわかるのだろう。だが、せっかちな俺は、キサラギ一頭の授乳に、20分もつき合う暇がない。途中から、ストマックチューブに切り替えて、流し込んでしまった。
 他の子牛も、まだミルクを飲むのが下手だ。乳首をすぐに離してしまうので、俺の顔とメガネに、ミルクがたっぷりとかかってしまう。飲ませるのに集中するため、それをぬぐうことが出来ず、寒い日はメガネが白く凍ってしまうのだ。

 ポパイは、俺を見つけると嬉しそうに駈けて来て、エサをねだる。舎弟のソックスも、当然ついてくる。最近仕事をしていないポパイは、ちょっと太り気味だ。エサは、ホンの一握りしかやらない。だから、俺が持っているものなら、生のジャガイモでも食べる。
 玄関橋の上に、ローズのエサのためにジャガイモを置いてあった。それを盗み食いしようと、ポパイが橋に乗っかった。板が古くなっていたんだ。踏み抜いたポパイは、驚いて橋の下にひっくり返り、身動きが出来なくなった。助けようとしたが、重くてどうしようもない。一応、本人は怪我をしないようにと、俺を気づかってセーブして動いていた。だが、それでは起き上がれないと判り、俺が少し離れたのを確認して、大きく反動を着けて起き上がったのだが、その時テレビアンテナを支えるワイヤーを引っかけ、そのままアンテナを引きずり下ろして走っていった(T_T)/~~~  
 橋は、郵便屋さんが落ちないように、すぐに修理した。アンテナは、観たいテレビが水曜日にあるので、それまでに直そう。

 凍結したトイレのパイプは、温風と温水を使って、何とか復旧させた。便槽の蓋のために、重くて丈夫な板を苦労して運んだ。今度は、10年くらい保つかな?

 先日生まれた仔牛の中で、比較的大人しい元九郎を、キサラギと同室にした。それが刺激になったようで、キサラギは自発的に立つようになった。
 今日も、いろいろあったのだ。
 小さいけど、元気いっぱいの元八郎が、左目を失明していた。どこかにぶつけてしまったのだろうか?片目でも育つだろうが、売るときは安くなってしまう。あまり安かったら、残して肥育するか?あっ、資金力が無いか?
 ベーコンの仕込みをした。
 ということで、黒毛和牛バラすき焼き用を使って、すきしゃぶをした。回数を増やすために、1回に使う肉の量を減らしてみた。美味い肉は、ちょっとの量でも十分満足できるから、経済的なのだ。
 本当に美味いんだ!噛みしめると、喜びがわき上がってくる。人は、肉を食べると、アナンダマイトという幸福増感物質が、脳内に分泌されるのだ。
 ちなみに、牛肉は豚肉の1.6倍のアナンダマイトを出させるそうだ。あなたも、和牛を食べて幸せになりませんか?