ブリザード

 何たる失策であることか!昨日気になっていたトイレだが、やっぱり凍ってしまった。高さ的には二階部分にあるトイレだが、パイプ出口が凍って流れなくなったのだ。
 とりあえず、キサラギを連れて牛舎に行き、朝の作業を終わらせた。キサラギは、ストマックチューブでないとミルクを飲めない。無理なのかな〜?
 引きこもっていたのだが、食べる物が無くなったので、金を下ろして米を買いに行った。外界は、風速16mのブリザードで、時々ホワイトアウトになった。ちょっと買い物に出るだけで、命がけなのだ。
 スコップとツルハシを持って、便槽を見に行った。5年前に蓋として置いた板は、腐って穴が開いていた。その穴から寒気と雪が吹き込んで、便槽を凍らせていたのだ。
 蓋を取り除き、氷の上に立ってツルハシを振るう。足下の氷が割れたら、俺は悲惨な目に会うが、想像しなくて結構です。パイプ出口の氷を、ツルハシやスコップで取り除く。氷の破片が体に着かないように気をつけた。寒い現場では氷だが、暖かい部屋に帰ると、溶けて元の姿に戻ってしまうのだ。
 だが、基本的に作りが悪く、氷点下10℃ほどの吹雪の中で、凍ったパイプの中身を出す作業は、無駄な努力だと悟った。温める側から凍ってしまうのだから・・・。明後日まで待てば、気温はプラスになる。それまでは・・・ヒミツ♡
 こんな作業をしている間に、メグミと幸五郎が脱走し、白くなっていた。既に抱きかかえられないほど大きくなった二頭を、一人で吹雪の中追うのは大変だと思ったのだが、二頭ともとても辛かったようで、簡単に牛舎に向かって走ってくれた。

 こんなに寒くては、仕事なんてやってられないのだ。『汚れた英雄』を観た。
 学生時代、友人と何度も観た映画で、笑ってしまうほど懐かしく、感動した。有り得ない設定に、昔と同じように笑いながらも、目頭を熱くして観てしまった。