受精卵移植

 昨日とは、明らかに空気の優しさが違っていた。濡れた手に当たる風が痛い。
 朝飯は、鶏ガラと腹に詰めていた米で作ったおじやだ。予想をはるかに上回る美味しい出汁が取れた。軟骨まで食べることが出来、膝関節が悪い俺にはありがたかった。
 食べ終わった鶏ガラは、ゴロウ達のおやつになった。一羽で三度美味しいのだ。鳥の骨は、乾いてしまうと硬くて危険らしいが、調理して湿っているうちは、それほど堅くないようだ。彼らは、なんの問題もなく、いつも食べている。
 窓の外を見たら、マユコが居た。この牛は、俺の思う方向には逃げてくれない。来月出産なので、牛舎の方に追い込んだが、そちらの放牧地に入れるのに、えらい苦労した。
 お昼頃、人工授精と受精卵移植があった。
 ミツヒラシゲ(平茂勝)には、『北平安』を着けた。この種は、よく留まるんだ。
 スズコにはBランクのモトツボ受精卵(勝忠平)を着けた。
「たぶん留まったと思うんだよな。」
と獣医さんが嬉しいことを言って下さった。1月に受精卵移植したのも同じ先生で、一発で留まった。また留まると良いな〜♡
 冷え込んだので、たぶんお産は遅れると思うが、ミシンで牛衣を修理して、準備を整えた。