ベーコン燻煙 こゆき

 一昨日の激しい雨は、道路の汚れを洗い流して綺麗にしてくれた。
 迷っている蜜五郎の処遇だが、ミツヒラシゲの母乳を利用することにした。一度飲むと、全然吸いに行かないし、便もミルクをたっぷり飲んだとき特有の物なので、乳量は相当ありそうだ。
 ベーコンの燻煙をした。
 友人から注文を受けていたのだ。2週間の熟成を終え、サクラのチップで燻煙である。俺はそんなにのんびり出来ない男なので、燻煙のセットをしたら、牛舎に行って糞出しだ。ときどき帰って、チップを足す。
 今日は、マメにチェックしたので、とてもいい仕上がりになった。完成したベーコンは、すぐに友人達にそれぞれ届けた。勿論、ちゃんと味見をしたのだが、バッチリだった。
 またまた、こゆきを連れ戻しに行った。
 こゆきは、漏電で電圧の低くなった電気牧柵をまたぎ越して、採草地にいた。吊られて数頭脱柵しており、意外に手こずった。
 全体をチェックした後、こゆきをゲートに追い込もうとしたら、三段張りのバラ線を押しつぶすようにして、乗り越えて行った。トップの線の上に、もう一本バラ線を張り、対策としてみた。
 だが、夜牛舎には帰ってこなかった。また、どこかを破って帰ってしまったらしい。繰り返し破ったという記憶が、彼女を強くしてしまったのだ。 放牧地の柵が数百メートルもあり、ちょっと弱いところがあると、そこを順次破壊されていくのだ。
 やっぱり、肉にするしかないか?