また雨だ。最近は人に会っても、雨の話が挨拶代わりだ。雨がひどくなる前に、放牧地に牧草ロールを運んだ。
 元八郎は、実は神経質のようだ。腹が減ってハッチから脱出してくるのに、哺乳瓶のミルクは美味しくないそうだ。ミツヒラシゲの乳首には、ためらいもなく吸い付き、蹴られていた。ミルクを作ってやると、最初は吸うのだが、すぐに止めて顔を背けようとする。母乳を吸った事で、哺乳瓶に吸い付かなくなる事はあるのだが、たった一日でこんなに拒絶する子牛は、我が家では珍しい。腹が減っているので、時間をかければ吸うけど・・・時間がかかる。
 発情周期が乱れやすいマキコだが、子宮内をイソジンで消毒してもらった。内部に炎症が起こっている可能性があるそうだ。昨日受精してもらったのだが、精子や卵はまだ卵管の奥の方にあるので、消毒は免れるそうだ。
 妊娠牛放牧地のゲート近くに、問題牛のこゆき(交雑種)が居た。こんなチャンスは滅多にない。ゲートを開けて、追いムチで追い込み、牛舎側に連れ帰ることに成功した。『あまり問題ばかり起こしていると、お肉にしちゃうぞ!』と言いつつ、前回移植したモトツボ卵を受胎していたら、あと一年間はお姫様待遇になるが・・・。
 足を痛めて、繋いで安静にさせていたサヨコだが、一応回復したようだ。だが、発情牛もいる大子牛部屋に戻すと、また転んで傷めてしまう可能性がある。再発すると、治るのにはとても時間がかかる。そこで、サヨコは一人部屋に入れることにした。
 まず、里次郎を大子牛部屋に移動させた。代わりに、綾五郎をワカコと一緒にした。そして、綾五郎が使っていた個室を、サヨコに使わせた。一人だと落ち着いていて、見ていて安心だ。逆に、里次郎はみんなに苛められていた。
 里次郎は、去勢手術以来俺に懐かない。そういう子牛は、時に大子牛部屋に順応しないこともある。ちょっと観察が必要だ。
 雨があがり、雲が晴れたので、今夜も流星観察をした。雲はないのだが、湿度が高くて、見える星の数はそれほど多くなかった。でも、5つほど観察できた。一つは、尾を引いて流れ、綺麗だった。