誕生

何とはなしに、中古車情報を探ってみた。
 俺は、ゴロウとカイトを乗せるので、選べる車種が限られてくる。ピックアップトラックは、高すぎて手が出そうにない。屋根付きの荷室があり、後ろのドアの窓が開くタイプ。ハイラックスサーフか、テラノが買えたらいいな!比べてみると、サーフの方が同程度なら高い。あらかじめ調べておかないと、せっぱ詰まったときに判断できないし、調べるだけならタダだ。
 今日も、相変わらず雨だった。
 ローズのエサとして貰ったトウキビを、ゴロウがせっせと食べている。彼の中では、自分はローズより地位が上なので、ローズのエサは取っても良いらしい。さすがに、カボチャには歯が立たないようだが・・・。
 産室脇の部屋に、石灰塗装をした。生石灰に水を入れると、反応して激しく熱を出す。それを刷毛で塗りつけるのだが、熱で菌を殺すというより、石灰で塗り込めてしまうのだ。
 モトツボの受精卵を受胎していたスズコが、ようやく産気づいた。夜牛舎を終わらせたところで、助産に入る。陰部に手を差し込むと、前足があった。細い。牝だなと思って頭を探ると、ちょっとでかいような・・・。
 引っ張り出してみたら、牝としてもちょっと小さめの子牛だった。スズコが痩せているから、仕方ないのかな?スズコは、今回は真面目に子牛を舐めて、母親としての使命に燃えていた。ゴロウや猫が通ると、追い払っていた。振り掛けた米ぬかが舐め取られたところで、タオルで拭きにかかる。念の為に性別を確認したら、雄だった。小さい!名前は、『元八郎』だ。父親は、遺伝子検査をしないと、福栄か安福久か判らない。
 元八郎は、なかなかミルクを飲まないので苦労した。モトツボの子供で、こんなに苦労したのは珍しい。寒いからか?牛舎内の気温が8℃。寒そうなので、今年初めて牛衣を着せ、カイロを貼り付けてやった。
 頑張ってでかくするぞ!