最近の彼女 サイコロステーキ

　彼女は、名家のお嬢さんだ。見かけによらず運動神経がよく、回し蹴りが得意な活発な女性だ。つきあい始めた頃は、何度も回し蹴りをくらったものだ。気むずかしいところがある女性だが、俺もようやく彼女とのつき合い方が判ってきた。最近は、とてもラブラブである。
　出産予定日を過ぎた牛が３頭いて、受精卵移植をするための養生している牛がいる。痩せていて、良質牧草を食べさせる牛がいる。最近の牛舎には、母牛が沢山繋がれていて、糞出しが大変である。
　寒風で顔が痛かったが、牧草を運んでやった。もちろん、ローズのお供付だ。牛達は、寒風を避けるために谷間に隠れていたが、トラクターの音を聞いて出てきた。臨月のメロンを捕まえて、トラクターで引っ張って帰る。

　お肉屋さんのお勧めサイコロステーキに挑戦した。味付けは、塩コショウのみだ。温めたフライパンに一気に投入し、火を弱めてどんどんひっくり返していく。焼き上がったら、フライパンごと食卓に持って行き、すぐに頂いた。
　塩が肉の旨味を引き立て、レアなサイコロの旨さは、格別である。端材のサイコロステーキなので、いろいろな部位が混ざっている。
　俺は、噛みごたえのあるモモ肉も大好きである。噛めば、肉汁がジュワァッと口の中いっぱいに広がる。中には、とろけるような肉も混ざっている。サイコロステーキとは、形がサイコロに似ているからではなく、バクチのように当たり外れがあるという意味だろうか？
　俺も、美味しい肉を見分ける目が育ってきて、最初の方に食べたサイコロの方が、肉汁いっぱいのとろける肉が多かった。でも、最後の一切れまですごく満足して食べた。