一人部屋 黒毛和牛モモタタキ

 福五郎の横暴が目に余ったので、空き部屋に移動させることにした。彼は、小さく産まれ、俺の手から餌をバクバク食べるほど懐いていたのだが、去勢手術以来、関係が悪化していた。出荷までの1ヶ月間、よくブラッシングして良い関係を取り戻そう。
 福五郎がいなくなった大子牛部屋には、平和が訪れていた。苛められていたシズルも、エサ箱に顔を入れていた。もう一つの一人部屋となっているセリナだが、合流させるべきか迷っている。金安平の極細なので、手をかけても高く売れないのだから、合流させるのが良いだろうか?一人だと淋しくて、共通の水桶のところに何時もいる。
 ローズの餌が、心細くなってきた。米ぬかが主食で、ジャガイモやカボチャもやっているのだが、米ぬかがもう無い!最近、俺の足音に敏感に反応し、小屋から飛びだしてきて、空腹をアピールする。残飯をもらいに行こうか?

 黒毛和牛のモモ・タタキを作った。先日のモモスキシャブでも驚いたことだが、モモなのにサシが入っている(モモ抜けが良いと言うらしい)。
 表面をサッと焼いて、2時間くらい冷蔵庫で冷やすだけだ。
 俺は、サシの入った肉は、冷たいと脂の甘さを感じることが出来ないと思っていた。それは間違いだった。これは、感動的な旨味と甘さの、絶品料理だ!
 勿体ないので、3回に分けて頂くことにする。