アヤ種付け 汚れる牛

 人は、暑さより寒さの方が、慣れやすい。単位面積あたりの汗腺の数は、生後3歳くらいまでに暮らした環境によって決まってしまうため、快適な北海道の人は、暑さには慣れにくいのだ。寒さに対しては、代謝を上げることで体が慣れることが出来る。
 俺は、不快指数日本一と言われる熊本県八代市で生まれたので、高温多湿にも平気である。また、お金がないのに冬山登山をしていたので、防寒代わりに代謝を上げる訓練はかなりやった。(周りからは、アホと言われた)
 それでも、ここ数日の寒気のゆるみは嬉しい。子牛たちも嬉しそうだ。パドックへ出られるようにしてやった。

 昨夜発情していたアヤ(安福165の9)だが、今朝は静かになっていた。のんびり日向ぼっこしている。向かえに行くと、すんなり捕まり、牛舎に着いてくる。
 とても良い発情だと言うことで、取って置きの『勝忠平』を着けた。
 アヤの息子、綾四郎(平茂勝)は、生後60日に満たないのに、3kg/日のスターターを軽く平らげ、乾草もほおばっている。産まれたときからでかかった。外で産まれたのが、こんな大きな子牛だったら、担いでこられなかったであろう。

 毎日糞出ししている同じ部屋にいて、汚れる牛と汚れない牛がいる。カネミ(金安平)は、絶望的な汚れ方をする。奥のカリンと比較すれば、汚れ方の違いがわかるだろう。わざわざ運古の上に寝て、ゴロゴロ転がり、顔をこすり付けているとしか思えない。
 しかも、今頃になってガンベが流行し始めた。出荷予定の幸四郎は、間に合わないだろう。カネミは、1月市場に回すか?

 モモカの娘は、『はるか』(百合茂)と命名した。出来れば母牛候補として残したい牛だが、経済が厳しいかも知れない。
 ミツヒラシゲの娘『みちる』は、制限哺乳に切り替えた。ミルク代を浮かせるために、母乳で育てるつもりなのだ。代用乳で育ている鈴太郎より、沢山飲んでいるかも知れない。