良い牛は高く、悪い牛は安い! 俺のは・・・

 安かった(T_T)/~~~  
 師匠は、まだ真っ暗な五時から起きて、牛にブラッシングをしていた。
 俺の牛が安いことは解っていた。原因も解っている。
 二人で営農するために規模拡大をし続けてきたが、牛舎の整備が追いつかず、狭い部屋にギュウ詰めになった。
 糞出しの人手も足りず、不衛生だった。
 快適な寝床は、牛の反芻のためには欠くことの出来ないアイテムだが、忙しさにかまけておろそかになっていた。
 今回は、ショックを受けに来たのだ。牛が安いのは、自分の責任だ。それを、現場でハッキリ感じ取るために、あえて行ってきた。この現実を、今後の牛飼いに生かしたい。
 子牛に与える配合飼料についても、俺は牧草を食い込ませるために制限していた。それを、エサを食い込めない痩せた牛と評価され、少し増やしてみた。師匠の意見では、もっとやった方がいいだろうということだった。
 こういうことは、家にこもっていては解らないことだ。わざわざ苦労していった甲斐があった。あと数頭、悪い環境で育った子牛たち続くが、今後はこのようなことの無いよう、やっていかなければならない。規模の縮小も考えよう!

 フジコは、繋がれている間に、他の町の子牛のエサを、チャッカリ頂いていた。