八雲へ マサコ発情 モトツボの発情不良?

 早起きして、排卵誘発剤をモトツボに注射した。今日は、病院に行くため、朝牛舎を早くにすませた。
 俺の牧場には、黒い動物が多く、黒が好きだと思われている。ライカをもらったときも、『本当に黒が好きね〜!』と言われたのだが、下心があったのだ。金目の黒猫は、金運をもたらす。今のところ、まったく運は向いていないが、いつかきっと俺にも運が回ってくると信じている。
 そんな思いに関係なく、ライカは切り草袋の上がお気に入りで、退かせようとすると、抗議のニャ〜ッ!を発する。

「もう大丈夫ですね!」
精神科の先生の言葉だ。そんな〜!ここ数日の苦悩を訴える俺。
「そんなの普通ですよ。普通は入院するような重傷を負ったのに、痛みに耐えて仕事を続けたら、誰もそれ以上頑張りなさいなんて言えませんよ!」
そうか!これ以上頑張る必要ないのか〜。かなり気分が軽くなった。
 整形外科には受診しないで帰る。

 牛群に不穏な空気が感じられたが、発情したのは産後20日のマキコだ。2回目の発情だが、とても良い発情だ。どうしよう?
 それに比べて、採卵するために人工授精するモトツボは、全然粘液も出しておらず、静かなものだ。
「これ、ちゃんと発情してるのかな?」
獣医さんが言うと、とても不安になる。内診してもらったが、ちょっと反応が良くないらしい。『安福久』を着ける予定だったが『福栄』に変更。
 発情の状態を、モモカに訊いてみた。モトツボを放してやると、モモカはすぐに乗っかってきて、一応モトはスタンディングした。ちゃんと発情はしているのだ。ただ、ちょっと反応が遅れているようで、スタンディングするより自分が乗りたがっていた。明日の朝ぐらいがちょうど良いタイミングかも知れない。