出産 発情 見送り 負傷(T_T)/~~~

 今日は客人が帰る日だ。俺は目覚まし時計のように起きて、朝飯前に牛舎作業をする。
 出産が遅れていたマサコ(登録名マキコ・美津福産子)が、突然産気づいてしまった。胎児が小さければすぐに出てくるが、簡単に出そうにない。窓の外を見ると、山の上で発情している牛が見えた。ヒカリ(安平産子)である。
 客人の電車の時刻と、出産までの時間、ヒカリを捕まえて午後から種付けしてもらう為のタイミングなど、いろいろ考えた。先に八雲まで送って来れば、帰ってきたくらいに産まれていて、それから世話しても十分かな等と考えている間に、陰部から袋が出てきた。
 やっぱり、出産させてから送ることにする。草架に牧草を入れてやったら、牛達は急斜面を駆け下りて帰ってきた。ヒカリはすぐに捕まり、引き綱を引いて枠に入れる。
 一次破水したので、助産を開始した。手を入れると、大きな前足があった。頭も確認できた。ちょっと気が早いが、前足に産科チェーンをかけて、体重をかけてゆっくり引っ張り出した。でかくて良い雄子牛(茂勝栄)だ。
 名前について迷った。マサコは我が牧場最初の子牛なのだが、出生報告の字が汚いので、マキコと間違えて登録された。でも、産まれた雄子牛は、雅太郎、雅次郎と名付けてきた。でも、意地を張らないで、登録名に会わせて『牧三郎』にするのも良いかなと思い始めていた。どうする?
 牧三郎は、産後15分で哺乳瓶から人工初乳を飲んだ。エライ!敷きわらをいっぱい敷いて、後の処理はマキコに任せることにした。

 客人を八雲に送る。汽車が来る直前に、到着することが出来た。いろいろ考え、感じさせられる訪問だった。

バッテリー充電器を購入し、とんぼ返りで家に帰る。牧三郎は、母親の脇で寝ていた。基本的に、大きな子牛は鈍くさいことが多い。牛舎作業をしながら観察するが、一向に乳を吸う気配が無い。心配になって、人工初乳を作る。最初に飲んだ勢いがない。でも、だいたい飲み干した。この大きさの子牛だと、2人前くらいは簡単に飲み干すので、たぶん母乳も吸ったのだろう。たぶん。
 シゲヨの娘マリヨを、部屋に戻そうと追いかけていたとき、スタンチョンの鎖につまずいて、態勢を立て直そうとしたのが裏目に出て、左膝を垂直に曲げた状態でコンクリートの床に、激しくニードロップをお見舞いしてしまった。床には全くダメージを与えることが出来なかったが(馬鹿)、俺はタダではすまなかった。
 痛くて眠れなかったのであった。(骨折していたから、当たり前なのだ。)