試練

　試練は、乗り越えるためにあるのだ！
　いろいろ重なって凹んでいた。鬱の回復期には、波のように調子が良いときと悪いときが来るらしい。今は、ボトムだ。これから良くなるに違いない。
　週間天気予報では、しばらく晴れそうなことを言っているが、ちょうど牧草が乾く頃に裁判所に呼ばれている。その後の天気は怪しいので、この絶好のチャンスを見過ごさなければならないのは、残念だ。今年は、まだ乾草が取れていない。
　吹き上げカッターは、どうやら直りそうにない。子牛たちには、切り草ではなく、長い繊維の牧草をエサ箱に敷き、その上から配合飼料をかけてやっている。ヘイネットで吊してある牧草もあるので、しばらくはこれで我慢するしかない。
　こんな俺を慰めてくれるのゴロウとカイトだが、牛舎作業を終えて家に帰り、エサをやろうとしたら、無くなっていた。俺を信じきった目で、真っ直ぐ見つめられると、切なくなってくる。いっぱい走って、お腹が空いているのだ。猫のエサで誤魔化す。
　鬱の調子が悪いとき、ワイパックスという頓服を飲んでしのぐことが出来る。でも、今回の波は、薬に頼らないで乗り切ってみようと思っている。