娘の嬉・歓・悲惨な休日 刈り取り続行

 朝から、娘と二人で牛舎に向かう。かなりの急斜面を駆け下るのだが、滅多に転ばないのが不思議だ。途中、農業用ネコ・ゴンタに捕まり、なでなでしてなかなか進まない。
 牛舎では、娘は俺の後をついて回る。ジュンコにミルクをやるときは、柵の中に入り、撫でたり跨ったりして、2リットル飲み干すまでの間を持たせる。ヘイネットに乾草とサイレージを混ぜたものを詰めるときは牧草の山で遊び、吊しに行くときは追いつかれる前に作業を終了させ抱っこしてやる。
 あまりに良い子だったので、ご褒美に出産間近のマサコの背中に乗せてやった。動物の背中に乗るのが好きな娘は、大喜び!!!
 水をバケツで運んでいるとき失敗し、娘の服を濡らしてしまった。そこへ妻がやってきて、牛舎作業をバトンタッチし、俺は娘を背負って牧草地へ行く。娘の服を濡らしたことがばれてしまい、着替えてから行くことになった。
 
 娘は、トラクターに乗るのが好きである。ものすごく窮屈だと思うのだが、寝たり、俺に話しかけたりしながら、何時間も作業に付き合ってくれる。モアコンディショナーで作業するときは、大半を右後ろを向いた状態で運転するので、右肩におんぶ紐が食い込みなかなか辛い。
 
 昼になったので、作業を中断して家に帰る。この時、玄関先でスズメバチが飛んでいるのを見かけたのに、俺は気にも留めなかった。これまでに何個ものスズメバチの巣を破壊し、襲ってきたスズメバチに頭や首に止まられたことがあるのに、刺される前に叩き落として事なきを得ており、自分の反射神経に自信があったのだ。
 
 昼食後、仕事に戻ろうとした俺について来るつもりだった娘に、
「コロンして、ネンネしよう!」
と声をかけたところ、娘は素直に布団の部屋に行った。妻にはひたすら抱っこを要求するのに、俺の言うことはよく聞くのだ!
 
 俺はトラクターに給油して、すぐに続きをやりに行って知らなかったのだ。娘に何が起こったか?
 夕方、家に寄らずに牛舎に行き、ちょっと念入りに夜牛舎作業をした。妻が来ないので不審に思ったが、疲れているのだろうぐらいに軽く考えていた。
 おおむね終わったところで、援軍様が向かえに来て、娘に何が起こったか説明してくれた。
 
 俺に勧められた通りに布団に行った娘は、寝返りを打ったり、足をバタバタさせて寝るつもりでいたらしい。ところが突然泣き出し、その足の裏にスズメバチが止まっていたらしい。ハチはその場で叩き殺され、すぐに町の主幹病院である北檜山国保(今は呼び名が変わったらしい)に電話して、急患で診てもらったそうだ。
 抗ヒスタミン剤を塗ってもらい、休日なのに丁寧な対応だったそうだ。しかし、帰宅後刺された患部を見てみたら、針が残っていた。
 
 スズメバチは、普通刺しても針が残らないことが多いのだが、もし針が残った場合はすぐに抜かなくてはならない。常識である。泣き叫ぶ娘の足の裏からとげ抜きで針を抜くのが難しかったので、針を着けない注射で吸飲して取り除くことが出来た。
 
 田舎で暮らすからには、こちらも健康に関して医師丸投げでは行けない。お医者さんでも、得意分野と不得意分野がある。先生方も、いろいろ経験を積まれる間に、いろいろな症状に対応できるようになられるのだと思う。
 どんな症状でも総合病院に行けば良いというのは間違っていると思う。それでは、総合病院の医師が疲弊し、やがて崩壊してしまうだろう。我が家では、まずは瀬棚診療所に行き、高次医療機関にかかるのはそこでは対応できない場だ。今回は休日だったので、救急担当の北檜山に行った。
 地域医療は、住民が意識しなければ無くなってしまう可能性がある。それと同時に、福田内閣が小泉がメチャメチャにした医療改悪を、お金をかけずにどう立て直せるか?とても興味がある。