早朝覚醒 ざっくり 馬喰さん テッター

 最近、寝るのが遅いのに、早朝覚醒する。睡眠薬を使っているので、寝るのは速やかで深いのだが、体が疲れているのに早く目が覚めるのは結構きつい。隣を見ると、娘も妻も爆睡中!最近、無理のしすぎだと思っているが、仕方がないのである。
 普通、鬱病の人は『○●しなければならない』と思いつつ体が動かないものなのだが(去年はそうだった)、俺は普通ではないらしい。何せ、『お父さん』なのだ。
 
 今日は思い切って起きてみた。監視カメラで光太郎が乳を吸っているのを確認。トウモロコシを茹でながら、食器を洗う。娘のために、茹でトウキビを切っているときに事件は起こった。
 不安定なまな板の上でトウキビをさくさく切っていたのだが、まな板が傾いてトウキビとともに俺の薬指が・・・。ざっくり切れてしまった。かなりの深手である。すかさず咥えて血管を押さえ、ゴムバンドで止血する。切れた肉片はゴミ箱へ・・・。
 
 これは由々しき問題である。俺の仕事は、体を使う仕事であるし、衛生的な環境ではない!何かをする度に傷口をぶつけ、せっかく止まった血がしたたり落ちる。糞出しで力を入れると血圧が上がるらしく、フォークの柄が血に染まる。
 
 久しぶりに馬喰さんが来た。きれいな若馬に育ったビクターを褒めてくれ、是非売って欲しいという。しかし、俺も命がけでホルターブレーキングした馬で、思い入れもある。頭もいい。最後まで自分で調教したい。
 提示してくれた金額はものすごく魅力的だったが、諦めた。今度、去勢してくれることになった。これで、肩の荷が一つ下りた。
 
 明日雨だというのに、テッターを2回かけた。ハンドルを切ったり,PTOを操作したりする度に傷口をぶつけて、怪我していたことを思い出す。苦痛は忘れっぽく、鈍感なのだ。
 
 馬の放牧地を掃除刈りした。アザミやヤマゴボウ、レースフラワーなどが生えており、馬の食べる草が無い。だから脱走して北山採草地を、ゴルフ場のようにしてしまったのだ。馬たちは丸々として、元気いっぱいだ。
 
 夜牛舎も晩飯作りも、怪我をしていると不便だ。娘は俺に向かって、
「マンマー!」
とうれしそうに催促し、料理している俺の足にまとわりついて離れない。隠し味に、俺の血が混じってしまったかもしれないが、よく加熱したから大丈夫だろう。
 
 診療所に行けば、湿式治療法をしてくれるらしいが、とても行く暇がない。仕方なく、馬用の湿式治療法を応用して自分で治療。どうせすぐ治るだろう。