分業 乗山羊

 今朝はテッタがけがあるので、朝牛舎は全て妻にまかせ、俺は娘を背負ってトラクターで出かけた。
 比較的平らな土地なので安全に作業できるのだが、屋根のないトラクターなので、娘の日焼けが気になった。
 トラクターがゆれても何しても娘は全くおかまいなく、俺の背中でお昼寝だ。
 
 ちょうど昼になるころ、テッタが終わった。
 家に帰る途中、トラクターの右前のタイヤがパンクしているのに気がついた。表面に傷がなかったので、バルブ不良を疑いバルブをはずして締め直し空気を入れたが、1時間程度でかなり抜けてしまう。
 
 夏風邪のせいで体調が悪く、ちょっとだけの昼寝のつもりが、起きられなくなった。タイヤもパンクしていることだし、ここは休んで正解だろう。元気な娘は昼寝もせずに妻と遊んでいたようだ。
 
 3人で早めに夜牛舎作業に行った。 
 娘は、昨日の初海体験のせいか、また一段とたくましさを増したようだ。波乗りゴロウの格好良さに気づいて、ゴロウへの尊敬の気持ちが感じられる。ゴロウが娘を抱いた妻をなめたら、娘がゴロウをなめ返していた。
 俺が糞だししている間、妻と娘は牛舎周りの散歩をしていた。散歩の途中、妻はお気に入りの山羊のジョンに、娘をまたがらせた。娘は大興奮で、キャッキャと声を上げて大はしゃぎだ。
 妻がエサをやっている間、今度は俺が娘のお守りをしながら子牛にミルクを作った。ミルクを作っている間、台の上に載せて待たせておくと、娘は薬の空きビンを薬棚から取り出して、
「ジャーッ」
とこぼす真似をして遊んでいる。子牛にミルクをやっている間は、子牛に触ったり、エサをかきまぜたりして遊んでいる。注意していないと、食べてしまう。
 
 晩飯は、サンマとズッキーニとナスのポン酢仕立て。サンマの香ばしさと、野菜が良く合っていたようで、娘はものも言わずにスゴイ勢いで、大盛りのご飯をばくばく食った。食っているうち、眠くなってきたようだ。
 
 寝かしつけるのも数十秒で撃沈。