鼻紋とり、母牛登録

 今日は、さらに涼しくなり、朝晩はちょっと肌寒いくらいだ。夏は終わったらしい。 

 汗一つかくことなく、朝牛舎を終えた。妻はウィンドブレーカーを着込んで仕事をしていた。さすがに途中で脱いでいたようだが・・・
 
 農協の人が2人きて、子牛の鼻紋とりと母牛登録をした。
 
 まず鼻紋とり。一人が子牛をヘッドロックして、もう一人はぬれている講師の鼻を拭き、墨をローラーでぬりつけ、専用紙に鼻紋をとる。鼻紋は、牛の指紋のようなモノだ。
 今まで、こんなことをされたことがないハナエとスミレ、Qちゃん、果穂次郎は、目を白黒させてビックリしていた。
 
 鼻紋とりが終わると母牛登録だ。体高、背から腹までの深さ、胸回り、骨盤の幅・奥行き・大きさなどを測定した。これで、母牛の得点が決まる。最後にまた、鼻紋をとって終わりだ。
ガリガリだな。もっと食わした方がいいよ。」
と言い置いて、農協の人たちは次の農家へ向かった。
 
 今日は久しぶりに娘を保育所へ迎えに行った。
 ゴロウとカイトが大好きな男の子がいて、
「荷台に載ってもイイ?」
と言うので、娘と一緒に荷台に載せた。この男の子のお母さんも、犬好きでとても感じのいい人だ。
 お母さんが帰ろうと促しても、いっこうに降りる気配を見せないので、
「このまま、うちまで来るか?」
と冗談で言ったら、男の子は目を輝かしたが、お母さんは、
「本気にしますから・・・」
 
 個人的にお願いしている畜産ヘルパーさんが、作業を確認しに来てくれた。俺は背中に娘を背負ったまま、作業内容を説明して、そのまま夜牛舎に突入した。
 途中から妻も加わった。娘は、タイヤに牧草がからみついた重たい台車を、まじめな顔をして押して歩いていた。褒められると、得意そうだった。
 
 俺は娘が帰ってくると声のトーンが変わるらしい。
 
 晩飯はにゅうめんだった。娘はいつもどおり、むしゃむしゃとたくさん食べた。困るのは、フォークから今にも落ちそうな大量のにゅうめんを、俺に食べさせようとすることだ。
 娘の落としたものは、みんなゴロウとカイトの腹おさまる。