回復日 

 保育所が遠足なのだが、父兄同伴で準備が大変なのと、娘の体調そのものもよくないので、休みになってしまった。
 俺は、天気図と週間天気予報を見ながら、日本海に低気圧が発生しているのに、どうしてこんなに晴れなんだろうと悩んでいた。
 前回の牧草刈りの時も、高気圧が二つ並んでいたら間に気圧の谷が出来るのに、なんで晴れが続くんだろうと思いつつ、プロの気象予報士がそんな初歩的なことを見逃すはずがないので、大した気圧の谷ではないのだろうと思って刈り取ったら、刈り取った直後に強い低気圧が発生し、やばいところだった。
 週間天気予報が外れても、誰も責任を取ってくれない。自分の感と経験・知識、運に任せるしかない。機械の整備も不十分なので、明日まで様子を見ることにした。
 
 先日の残業は、予想以上に俺の体を痛めつけており、娘を背負って糞出しをしたり、整備をする気力もなく、看病疲れで力尽きかけていた妻の休養も兼ねて、ダラダラ過ごす。
 娘は日に日に可愛くなる。お父さん・お母さんときちんと発音できないくせに、カイトやマロンの名前や、カッコウの鳴き声などはすぐに覚えた。言葉もよく理解しており、
「お父さんの所に行って、コロンしておいで!」
と言われると、台所から寝室まで歩いてきて、俺の脇に転がるのだ。『ダメだよ!』という言葉もよく理解しており、なにより誉められるのが大好きである。
 
 夜牛舎で、背中に背負って作業していたら、娘が俺の腕や頭を優しく撫で撫でしてくれた。自分だって、作業中の俺の背中にいるのは辛いだろうに、
「良い子。良い子。」
と励ましてくれるのだ。これには感動した。