激変? 食いすぎ? 

 娘は、夜中の寝息も苦しそうで、午前5時の体温は39度だった。やむなく、解熱剤(座薬)を使う。まもなく大汗をかき、7時には平熱になった。これで安心、あとは快方に向かうだけだと思ったのも束の間。熱があるときも元気で、茶目っ気を忘れなかった娘が、ご機嫌斜めになってしまったのだ。
 昨日は、いつもの食事のシチュエーションにするため、ラム肉のトマトソースがけを作ったが、肉は与えず、トマトソースをかけたたき込みご飯とおかゆを食べさせただけなのだが、朝はお粥だけを少量食べさせた。
 
 泣く子も黙るタケモトピアノのCM』でさえ効果がないくらい泣きじゃくるし、下痢も止まらないので、腰の重い妻をせかして診療所に連れて行かせた。俺は、朝牛舎の仕事があるのだ。
 吉岡医師は、触診でお腹に力が入っているのが気になるとおっしゃっていたそうだ。週末を控え、我々の不安を解消するために、八雲総合病院への紹介状を書いてくれた。

 急遽、仕事を投げ出して八雲に行くことになってしまった。
 
 血液検査・便・レントゲンなどの検査の結果、消去法で原因を探っていく。
 ロタウィルスなどは見つからず、熱も下がっているため、ウィルスや細菌の新たな感染とは考えにくい。
 炎症の広がりを示す物質もないことから、腹膜炎や盲腸の可能性もない。
 ただ、レントゲンで判ったことは、十二指腸より先に食べ物が映っていないということから、消化器の働きが鈍っているということだった。
 
 最初の受診の時(数日前)吉岡医師が、ロタほどひどくないがお腹の風邪ですと診断されていたのだ。先生の経験だけで、的確な診断を受けていたのだ。
 ところが、娘の体力と食欲に油断した俺は、娘がお粥が嫌いなのもあって、熱が一度下がってからすぐに普通の食事(肉などのタンパク質はを与えないよう注意したが)に戻したのが、現在の腹痛の原因らしい。消化器が疲れているのだ。
 以前の診療所のように、放射線技師の方や、十分な看護師が常駐している状態であり、医師複数体制だったなら、わざわざ八雲まで出向くことはなかったと思う。
 入院して点滴し、絶食させるか?家に帰り、こまめにチョコチョコ水分を補給しながら、今日は絶食して明日から徐々に薄いお粥を食べさせるか?と聞かれたので、連れ帰ることにした。
 
 ホーマックで、アイコの苗と、シリカサンド(球体)を購入し、遅い昼食を車の中で食べたが、娘は臭いで察知して
「ウマウマ!」
と、腹が減っていることを訴えるようになった。ちょっとは元気も出て、ひょうきんな行動もするようになったが、とても食べ物を欲しがるのに、ポカリスエットなどで誤魔化されるのは辛かったようだ。
 夜牛舎を終えて帰ってきたときは、娘は腹痛と空腹で半狂乱状態になっていた。妻は何時間も抱っこし続け、手の筋肉がおかしくなったので、ようやく降ろして寝かせることに成功した。