去勢 思うことがあって糞出し!

yonemiki2007-04-10

 だいぶ前から気になっていたことだが、雅太郎と浪三郎の去勢をした。昨日のうちにモクシを着けてあったのだが、雅太郎の抵抗が激しく、指を痛めてしまった。今日は大人しかった。去勢すると性格も大人しくなるし、ホルモンバランスが変わって肉質も良く、柔らかくなるのだ!
 
 欧米では、ホルスタインの雄が生まれると殺処分されるが、日本では肥育技術が高いので、国産牛として十分美味しく食べることが出来る。命に対する考え方も違うと感じる。
 反捕鯨家と議論したことがルが、ビーフやラムは食べ物で、生き物ではない!という感覚には驚かされた。生きている動物と、肉とで名前が違うのだ。だから、馬や鯨のように肉の名前が無い動物を食べることに、激しい抵抗を感じるという。ラムが、子羊の肉ということを、知識として知っていても、感覚としては感じないのだ。 アメリカで子牛が病気になったとき、いきなり強力な抗生物質を使い、3日で治らなかったら採算が合わないので殺される。これを『3days Hospital』と言う。
  
 俺たちは、子牛に牛衣を着せたり、投光機などで暖房してやったりして、一生懸命育てている。生菌製剤などを食べさせたりして、出来るだけ下痢しないよう気をつける。ミルクを飲んでいる子牛が、黄色い便から黒っぽい便になって、ポッテリ形が残ったまま落ちていたりするとそれだけで嬉しくなるものだ。スターター(配合飼料)を食べている証拠で、丈夫な胃袋を作る上で大切なことだ。
 風邪をひいた場合でも、弱い抗生物質から使い、耐性菌が出来ないように気をつける。先日、『白筋症』という微量物質セレンが不足して起こる病気の子牛を見せてもらったが、数ヶ月毎日リンゲルやブドウ糖などの点滴をして、死なせなかったそうだ。まるで採算が合わなくても、せっかく生まれた命を大切にしているのだ。
 
 黒毛和牛が外国に持ち出され、種雄牛まで生産されているが、基本的には交雑種として生きたまま日本に輸入され、国産交雑種として販売されている(飼育期間が長い方が、生産国になるから)。黒毛和牛の飼育・肥育は難しいので輸入はされておらず、今のところ国内での子牛の生産が追いついていない状態だ。
 しかし、『種を制するものは、世界を制す』と言い、アメリカは農産物の種を売ることで莫大な利益を得ているそうだ。そんな中、日本の財産とも言える黒毛和牛の遺伝子を持ち出すことや、肥育技術を伝授することは、日本の将来を危うくすることだと危惧している。
 そのうち、アメリカで黒毛和牛の『スーパー・サイヤ』が次々誕生し、その精液を買わないとならなくなったり、肥育は中国が良いといって『中国製・黒毛和牛』を食べる時代が来ないとも限らない。
 
 そんなことを思いながら牛舎作業をしていると、自分の牛舎が汚れているのがとても気になった。2時間もかけて、タップリ糞出しをした。
 汗をタップリかいたのに、体重は75.6kgに戻っていた。なんで?(服はいつも同じ格好で測定)