カイトの去勢手術 

今朝も、起きてから犬達を出してボーッとしていたら、ゴロウが牛舎の方から一人で帰ってきた。
「ヤバイ!」
急いで着替えて、ゴロウと共に車で出かけたが、途中の道でも、いつもの友人犬のところにも、カイトが見あたらない!もしやと思って、国道まで降ったら、カイトがトコトコ歩いていた。
 
 これはもはや、一刻の猶予もない。連れ帰り、牛舎をやる間ヒモで繋いでおき、去勢手術をすることにする。
 新しいカッターナイフの刃に替え、手を洗い・・・。その前に、陰嚢の毛をはさみで刈り込む。2回ほど、肉を少し挟んでしまい、痛い思いをさせた。
 むき出しになった陰嚢だが、子牛のものと違い、睾丸が自由に逃げてくれない!切り方に迷ったが、子牛と同じように陰嚢をいっぱいに引っぱったところで、一気に切断。ここで、子牛との違いを見せつけられ、愕然とする。睾丸が、繊維性結合組織でしっかり包まれ、簡単には引き抜けそうにない!
 カイトは痛さに悲鳴をあげ、ヒモや俺の服や長靴を噛み、時々俺の皮膚にまで達するときも・・・。
「どうするんだ?これ。」
と迷ったが。睾丸表面を包む繊維性結合組織に、そ〜っとカッターで切り込みを入れ、やっと睾丸を露わにすることが出来た。後は、子牛と同じようにゆっくり引き抜く。反対側も同じように・・・。
 
 結果的には、ほとんど血も出ない手術だったが、カイトには相当ショックだったようだ。(あたりまえか)綺麗な雪の上で手術したので、消毒もしないで放してやる。自信を無くしたカイトは(それまで『俺様カイト』と言われていた)、車の下に隠れてしきりに傷口を舐めていた。車の荷台に、タオル地の敷物を敷いてやり、傷が汚れないようにしてやった。
 
 俺も結構疲れていたようだ。マロンの傷口洗浄用をしようと仕度したのだが、大型注射器の口を壊してしまい、今日は洗浄できなかった。
 一眠りしたかったが、天気が良かったので夕方に一仕事した。

 カイトは夜牛舎の時には俺の後ろに着いて歩いてきた。ゴロウが棒を持って走っていても、それを奪い取るような元気は無いようだった。作業中も、牧草ロールの上から降りずに、ひたすら大人しく待っていた。
 部屋に入れてブラッシングしてやると、安心した顔で身を任せていた。今夜はつらいだろうな〜。
 
 俺は、深夜まで青色深刻の伝票入力をした。
 夕張の大地にコトー先生 村上医師、市立病院引き継ぐという記事を、教え子が教えてくれた。是非一読してください。