背中と腹が痛い! サトコ発情 コルセット 

 昨夜は、睡眠導入剤を使って何とか寝ることが出来たが、どうにも痛すぎる。腰痛ではないらしく肩こりでもない。神経痛のような気もして、腹巻きを撒いて仕事に行く。エサや水のバケツを持つのも一苦労だ。ゆっくりゆっくり仕事をした。
 
 ふっと外を見ると、20日前になけなしの「安平照」を付けたサトコが、発情していた。がっかり。サトコ1頭だけ捕まえるのは無理なので、牛舎前に集まっていた牛数頭まとめて牛舎に追い込み、他の牛にはお引き取り願った。しかし、母性本能の強いア○コ(この名を出すと怒られるのだが・・・)は、子牛部屋から動こうとしない。声をかけながら外に追い出そうとしたら、狭い通路で急に向きを変えて、俺を壁に叩きつけた。
 そういえば、昨日も同じようなことがあり、金属の柱と牛体に挟まれたのだった。忘れっぽいにも程がある。痛いのを忘れて大ハンマーを振るってユンボ救出作業をしたので、こんなにひどくなったのだった。俺の経験から言うと、ケガした原因を忘れているときほど、治りが早いものだ。
 
 副腎皮質から出るホルモン(糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドがある)が、炎症を起こしたり、抑えたりするのだが、人間は大脳が発達しすぎて自律神経にまで影響を及ぼし、大騒ぎすると炎症を起こすホルモンが必要以上に出て、炎症がひどくなりケガの治りが遅くなる。
 原因が解ったので、昼飯を食わずに寝て、獣医さんを待つ。サトコの卵胞は固く、明日の方が良いということだった。
 さっさと寝なおす。
 
 起きたら真っ暗だった。めんどくさいので、食堂に晩飯を食べに行く。
 筋肉が傷ついて痛いのなら、コルセットを巻けば楽になると信じ、作業に出かける。朝よりかなり楽になっていた。明日妊娠鑑定を受ける牛達を、枠着きスタンチョンに繋ぎ換えたのだが、若牛達はなかなか思い通りに引っぱることが出来ず、苦労した。諦めて手を離したら、俺が入れようと思っていたスタンチョンに、自分から入ってくれた。
「今までの俺の苦労は何だったのだ!」
と腹が立ったが、優しく撫でて、エサをやった。牛飼いも、結構牛に気を使うものだ。