今度は牛の脱走 リズムが狂ってしまったぜ!夜中の糞出し 

堆肥舎の妊娠牛
 朝出してやった犬が鳴いていたが、俺はダラダラ出勤。行ってみると、昨日の馬6頭分の足跡とはレベルの違う大群の足跡が、雪の上についていた。
「ヤバイ!牛舎がメチャクチャか?隣に行かれたか?」
焦って後を着けたら、牛舎よりも、ラップサイレージを積んである広場の方に向かっていた。牛舎内を確認したところ、エサだけはきっちり食べてあったが、大事な一番草やラップサイレージを倒して糞尿を垂れるなどという悪さをしていない。放れている牛がいないので、1頭紛れ込んで出て行ったのかと思ったら、ちゃっかりもののマサコが、空いたスタンチョンに首を突っ込んで、何食わぬ顔をして寝ていた。
 外の大群はやっかいだ。サイレージに穴をあけて、夢中で食べている。追いかけるとグルグル回ってどこに行くかわからない。ちょうどそこに来客が見えたので、そっちに逃げることはないと踏み、一気に追いかけて柵にしまった。
「立っているものは親でも使え!」
という師匠の教えを忠実に守っているだけだ。おかげで無事全頭を収容できた。
 脱走の原因は、昨夜脱走した馬が、外側から牧柵の杭をイタズラして倒しており、そこから牛達が脱走したのだ。もっと丈夫な杭を立てろよな〜と自分に文句を言いながら作業続行。3時頃にようやく昼飯。そのまま昼寝をしたら、あたりは真っ暗になっていた。
 そこから牛舎に行くのが大変である。仕事が嫌いなわけではない。行けば、体から湯気が上がるほど働ける。牛の顔を見るのも好きだ。しかし、家から出るのも、飯を食うのも億劫だ。
 真由太郎が着ていた、運古まみれで破れた牛衣を、洗わずに縫ってやった。妻に見つかったら大目玉だ!たこ糸を用意し、それ用の大針を使い、裁縫箱は遠く離れた場所に起き、臭いが移らないように気を配る。針ももちろん拭いた。
 
 昨日の豚キムチ鍋を増量し、腹一杯飯を食って家を出る。やっていると、いろいろ目につくものだ。結局、親牛の糞出しを全部やり、大子牛の敷きワラも全部剥ぎ取り、搬出した。やっていて思ったのだが、糞出しは夜の方が、事故が少ないような気がした。過積載の一輪車の重みでタイヤが地面に沈み込み、前転しそうになるのを強引に抑えて、フレームを折ってしまうというのが最も多い事故だが、寒さで地面がガッチリ凍っており、すいすい進める。
 終わったのは、オリオン座が西に傾いた、午前1時だ。