おんぶ姫 夜中の脱走劇

おんぶ姫

 保育所に2日行かないと、娘は後追い行動が激しくなり、妻といるときはひたすら抱っこやおんぶを要求する。いつも愚図るので、妻の疲れがピークに達してくる。
俺は、いつものように牛舎に行くのが遅くなり(腰が重いのだ)、働き始めると勢いがついて、お昼をはるかに過ぎるまで頑張り、腹を空かせてヘトヘトになって帰ってくる。
 そこで、娘を預かり、休憩がてらベッドで遊ばせてやる。俺はうつらうつらして来るのだが、娘は容赦しない!俺の体をつたい歩きしたり、股間の大事なもの(大したことはない)に足をかけて、体に登ってくる。そして、お気に入りの俺の鼻を、叩いたりかぶりついたり・・・。髪の毛も大好きである。引っぱったり、しゃぶったり、単なる遊び道具である。ベッドはもっと広いのだから、あっちに行って遊べばいいのに、ひたすらジャングルジムのように俺の体で遊んでいる。
 
 飯が遅くなり、それに伴って夜牛舎も遅くなった。
 今日は、1台の車も来ていないので、道路は新雪が積もっていた。そこに沢山の足跡があった。ラップサイレージのところに、オリーブとその息子ビクターが居て、フィルムを破いて牧草を食べていた。馬のところに置いてある、妊娠牛の旨くない草を、ジョンとココアがいる鶏小屋に移動させ、1番草と交換してやる。馬たちは、美味しくない草を食べたくないので、広い放牧地を駆け回り、雪を掘って牧草を食べたり、笹を食べて暮らしていたのだ。足跡をたどったら、電気牧柵の低いところを飛び越した跡があった。
 牛舎作業をしていたら、妊娠牛の群に移動したはずのモモエちゃんが押し入ってきた。実は、明日も獣医さんが来るので、妊娠鑑定の再確認をお願いしなければと思っていたのでちょうど良いのだが、他の牛は大丈夫だろうか?妊娠牛用の、美味しくない草を持て行ったら、ナミコが脱走してラップを囓っているところを発見した。雪が積もって、ケーブルが埋まったところを、またぎ超してきたようだ。
 捕まえて、引き綱で引くと、素直に着いてくるのだが、ケーブルを雪に埋め直しても、そこを通りたがらず、引っぱるのに苦労した。またぎ超すときに、痛い思いをしたのだろう。
 
 蜜四郎は、今日も寄るのミルクをほとんど飲めなかった。