危機感の無さ・情報の無さ 動けなかった 

 大成の方と話す機会があった。その方の話では、小六先生は二人で大成国保病院をやっていらしたのだが、
「一人でやりたい。」
と言うことで、現在に至っていると言っておられた(真相はわからない)。代わりに、土日は小樽(?)の方から代診を頼んでいて、年間1千万円ほどかかっていたそうだ。夜間外来も入院も受け付けていたので、相当過酷な勤務状態であることに間違いない。
 医療対策審議会では、大成国保の無床診療所化、一人体制、土日休みが決まりそうだが、それにしても1年間くらいは変更にかかるそうだ。このような勤務状態を、「普通」と考えていては、次の先生は絶対に見つからない。
 ところが、その人の話では、危機感を持っているのは、大成の議員と医療対策審議委員だけで、一般の人はあまり知らないらしい。情報を持たない人たちは、当然危機感もなく、行動の起こしようも無い。
 瀬棚区民だけの活動のようになっているのは、そういった情報不足によるものらしい。村上医師の意見書のネガティブな部分は、あんなに素早く広がったのに・・・。
 
 瀬棚診療所が無床化するときに、町長は
「医師2名体制を維持するために努力する。」
吉岡医師の辞職延期期限が迫っていたときには
「北桧山国保から、週5日でも応援をよこしてでも、瀬棚診療所は閉鎖しない。」
吉岡医師が残留するために提示した条件、薬剤師とレントゲン技師の雇用については、
「まだ残留するか判らないのに、雇うわけにはいかない。」
残留が決まった後も、雇用しない方が儲かる(利益は増えずに、人件費だけを計上したシミュレーションを作ったが、関係者に聞くと笑われてしまった)と言って、約束を果たしていない。
 俺のところに
「瀬棚診療所で募集をしていないのか?」
と聞いて下さった医師も、
「町長の考えを変えてもらえないと、応援は無理ですね。」
言っておられた。勿体ないと思いませんか?
 
地域医療は自分と患者さんのことだけ考えていてはダメ。自分が歳をとった時、動けなくなった時にどこまで安定した医療を提供できるかを考えておくことが大切。瀬棚だけでなく日本の地域医療が次の後継者を求めている。今、自分の経験を若い世代に伝えるのは地域医療をやる医師の大事な仕事。」
診療所で後期研修医をしてくださった富山医師に向かって、村上医師が言った言葉である。(どうすれば集まる医療スタッフ・富山医師の寄稿より)
 現在まとめられようとしている、医療対策審議会の答申は、一時しのぎで、吉岡医師や小六医師の犠牲の上に成り立っている、とてももろい体制だと思う。
 
 薬が変わったせいか、今日は絶不調だった。娘の笑顔が、せめてもの救いだ。