てんやわんやな1日

 今日は町長に会う約束があったので、早起きして牛舎に行く。モモカが出迎えてくれた!?また脱走して、牛舎内を荒らしてくれたのだ。スタンチョンに繋ぎ、運古をまたぎながら急いで朝牛舎。作業をしていたら、もう一頭子牛が歩いている。でっかいので、ホタルかミカンだと思いこみ、大子牛の中に入れた。
 
 前山・中山にテッターをかけに行く。十分ロールできる乾燥状態だ。全部終わらないうちに、約束の時間が来てしまったので、慌てて帰り、着替えをすませた。
 
 町長は、先日の俺の失礼にも、寛大に許してくれた。
 町長が、前回、伊関先生に是非会いたいということだったので、先日先方にそれをお伝えしたことと、先方から具体的な時間のお尋ねがあったことを話した。町長のスケジュール調整をしてもらえるようお願いし、2〜3日中に返事がもらえることになった。
 伊関先生と町民の懇談会の席に、町民が何を考え、何を心配し、何を勉強しているか知るために、是非ご参加くださるようにお願いしてきた。
 責任ある町長の立場だから、懇談会の場で突然質問されても無責任には答えられないし、急に発言を求められても、立場上迂闊なことを言えないことをこちらも承知しているので、ただ様子を見るだけで良いから、出席してくださいと再度お願いしてきた。
 町長は、財政難の中、いろいろ考えなければならないことがあり、お疲れの様子だった。
 
 町長が退席されたあと、助役がしばらく話を聞いて下さった。前回の面談の際も受診動向の話をしたが、今回もまたその話になった。助役も、昨日のブログを読んでおられた。
「病院なんて好きずきで、どこの病院を選ぼうがその人の勝手である。しかし、これから医療機関を整備していく時、自分の子どもを連れて行けないところでは困る。大人も子どももお年寄りも、気軽に利用できる医療機関でないと、町が金を出す意味がない。
と俺が話すと、助役も
「その通りだ。」
と言っておられた。
「ちなみにお子さんが病気の時はどちらに連れて行かれましたか?」
という質問に、北桧山国保ではなく(瀬棚診療所は当時無かった)
「八雲だな。」
ということだった。
 
 医師の頭数ではなく、質が大切だと言う点でも、俺の
「医者なら、どんな医者が来てもいいと言うわけではありませんよね。町民が信頼してかかれる医師が必要ですよね。」
という言葉に、賛同していただいた。
 
 財政難で医師の確保が難しく、今は首長が医局に土下座しても、医師派遣が期待できない状況だ。
 
 助役は、兵庫の馬庭医師の件も聞いて下さった。
 特許ももっていらっしゃるすごい医師で、町内唯一の黒字経営診療所所長だったのだが、「合併による平準化」の名の下に、それまでの診療ができなくなり、辞職された。その後、新しい市には医師が集まらず、市長が困り果てていたそうだ。市だけではどうすることもできなかった。
 岡山県では、医師不足解消のため、後期研修生(富山医師のように、医師経験3年以上の医師)を4年契約で募集し、3年勤めると最後の1年は海外派遣まで用意したそうだ。
 今は、なんのつても、勤務地としての魅力もなければ、こうやって大枚はたいて、医師を集めるしかない。

 財政難のせたな町であるが、医療機関や医者の好みはそれぞれ違うとしても、我々町民が、税や国保料を支払って、雇うのだから、
「医者がいれば、どんな医者でもいい。自分は、できればかかりたくないけれど、とりあえず町内に医者がいればいい。」
と心の底から思う町民は、いないはずだ。
 
 かぎりある財源、一銭も無駄にできない財政難、だから、本当に町民の為になる使い方を、と考えると、
*町民が負担し支払う給料に見合うように、働いてくれる医師やスタッフ
*町民第一、患者第一に考える医師やスタッフ
*難しい手術や、高度な治療が必要なときは、2次、3次の医療機関へ、スムーズに連携できる
*多くの町民がかかりつけ医として信頼でき、何かあったらまず相談しようと思える医師がいる
このような医療スタッフや、医療機関を最低限でも整備する必要がある。
 人数や設備の問題ではなく、医師やスタッフの質が、大切なのである。
 今、せたな町にある医療機関は、このような条件を満たしているだろうか。
  
・お金は出せない
・大学などの資金負担で、若い医師が、研修したくてわざわざやってくるような、
 魅力的な職場作り(医療機関作り)
・そういう医療機関を作れる所長や院長
 
 このようなせたな町の現状を考えていくと、選択肢は極めて限られたものになると思う。
  
 大急ぎで家に帰り、スコーンを頬張ってレーキの腕が曲がっているのを修理し、レーキをかけに行く。遠くから、黒い雲が近づいており、イヤな予感がしたので、ロールベーラーを着けたフォードを取りに行く。
 取りに行く途中、電気牧柵のケーブルに触れて、漏電具合を調べたら、全然電気が通じていない。ケーブルが切られていた。牛舎に帰ってみてみたら、先日の雷で、漏電ブレーカーが落ちていた。今はそれどころではないので、とりあえずスイッチを入れ直して、ロールしに行く。外周3周分集めた後は、少しレーキしてはロールした。
 しかし、20個くらい集めたところで、とうとう雨が降り出した。
 仕事を辞めて引き返す。帰ってみて、さらにショックを受けた。外に干してあった、200kgのラップサイレージが雨に濡れていた。フォークで何回も運んで、扇風機を当てたが、カビるだろうな〜!
 
 ガックリ来て、ずぶ濡れになって家に帰る。イタリアンなチャーハンを食べて、夜牛舎に行く。一応、懐中電灯を持って切れた電気牧柵の補修をした。繁殖状態を調べるために、親牛も入れ、ずぶ濡れになったサイレージを食べてもらう。
 出荷する牛のことを、すっかり忘れていたので、11時半までかかって、体にこびり付いた運古を取ってやった。
 さすがに疲れた!こういう時は、スイカに限る!今日は梨までついた!シャワーを浴びて寝ようと思ったが、豪雨になったので、12時半に車で牛舎に行き、ユンボで雨水が牛舎に流れ込まないように、溝掘りをした。
 冷蔵庫に残った最後の発泡酒を飲んで、さっさと寝た。