姫を送る カイト行方不明 

 約1週間、我が家の農作業を手伝ってくれた姫のもう一人が、今朝帰った。早起きして、朝牛舎をすませてから、俺たちを起こしてくれた。俺は、そのあとテッターに行った。
 ゴロウとカイトをハイラックスの荷台に乗せて、八雲駅に出発。いろいろ悩み事もあるらしいが、それなりに頑張っているそうだ。俺が十数年前に撒いたエコロジーや環境教育の種が、彼女の中で立派に生長しているのを見ると、とても嬉しかった。
 昨夜の姫の進言とは、俺がやっている仕事は、一人では到底無理な量で、このままやっていては鬱がいつまで経っても治らないから、もっと平らな農地に移るか、教員に戻った方が幸せなんではないかということだった。
 確かに、教員生活は楽しかったが、はっきり言って神経をすり減らすほど勉強して、わかりやすい授業をすることに命をかけていた。こちらに来て、その情熱を無くし、もはやそんな生活には戻りたくない。
 新しい農地に移るのは、いろいろあって難しいのだが、チャンスがあったら移りたいとは思っている。
 
 会話が弾んで、あっと言う間に八雲に着いたのだが、荷台を見たら、カイトがいない!出発するときは、確かに乗っていたはずだ。列車の出発までは時間があったのだが、その場で別れて、来た道を引き返す。
 どこかで落ちてしまったか、信号で止まったときに雌犬を見つけて飛び降りたのだろうか?血痕らしい形跡は、道中どこにもなかった。家に帰り着いたが、カイトはやはりいなかった。
 もう一度、八雲までの道を引き返す。やはりどこにも見あたらない。
 帰って、テッターをかけた後、娘とMikiを乗せて、もう一度八雲まで行った。途中、犬のいそうな家により、カイトがいないか調べたり、出会ったパトカーを止めて、連絡があったら知らせてもらう算段をつけた。
 道を間違えて今金の方に行った可能性もあるので、そちらにも行ったが、やはりいなかった。
 
 夜牛舎を終え、11時過ぎに晩飯を食ったのだが、暗い夜道を傷ついたカイトがトボトボ歩いて帰る姿が目に浮かんで離れないので、4往復目の八雲に向かった。
 
 カイトは、全身黒い小型犬(10kg)。あごの下と尾に白い毛が混じっています。とても人懐っこく、可愛い犬です。
女の人の足に捕まって腰を振っていたので、発情しているメス犬を見ると、見境が無くなっているかも知れません。
 瀬棚から、北檜山、若松を通って、八雲まで行く途中でいなくなりました。どなたか、見かけた人はいませんか?最寄りの警察に電話するか、うちにメールください。