3万円のツケ 野菜の苗 熊の味 ウミガメを食べる話

 朝牛舎は、教え子たちが全部やってくれた。俺は、刈りとった牧草に、テッターをかけに行った。予報どおり、水曜日まで晴れなら、乾草として仕上がるだろう。そう思いながら、運転中、8割以上後ろを見ながら作業していたのだが、複雑なコブを越えて後ろを振り返ったら、真ん中2本のタイヤが無くなっていた!
 実は、シーズン始めに、中央の2本のタイヤを、ベアリングごと交換しようと思っていたのだが、3万円の金額と手間を惜しんで(実際に動けなかった)、止めたのだ。
 すごい後悔をしながら、ガッチリ錆び付いた頼りないタイヤを、新品に交換して中央に付け替えた。両脇の2本がまともな部品がないので、ごまかしのワザを考える。 
 その間に教え子たちは牛舎作業を終えて、アシタバやシシトウ、ミニトマト、ナスなどの植え付けをやってくれた。さすが、離島で小さな畑を作っていたり、園芸科を卒業した生徒たちだ!今年は食べられるかな?
 
 友人家族が、土産を持って遊びに来てくれた。遠路はるばるやって来た教え子見物や、馬に会いたかったのもあるようだ。
 熊を食べた話も出たが、固くてかみ切れず、なかなか飲み込めなかったそうだ。俺が、インディアンとヘラジカを捕ったとき、殺したての新鮮な肉が味が無くてかみ切れず、1時間以上煮ないと食用にならなかったことを思い出す。熟成に1週間くらいおかないと、本来の柔らかさや味が出てこないものなのだ。(熟成後は、感動的に旨かった!) 
 ニュージーランドで野生の山羊を旨くないと言って渡されたときも、5日間熟成させて料理してやったら、感動されたことがあった。
 もしかしたら、熊の肉も本当は美味しかったのでは無かろうか?
 
 離島では、ウミガメを食べる習慣があるそうだ。俺の知るかぎり、食べられるのは草食のアオウミガメで、癖が無く牛肉より旨いと聞いていたのだが、世界中で食べられたために数が減ってしまった。 
 話によると、そのカメはものすごく臭くて、大量のアシタバを入れて味噌味で煮込むものらしい。翌日に体臭でカメを食べたことがわかるくらい臭いことから、肉食のアカウミガメだろうか?今は保護されているはずだが・・・。
 いつも食料に困った、貧乏な島だったので、何でも食べてしまう傾向があったそうだ。