まだまだ生きてる!

 蜜三郎は、今朝も自力で立って、荒い息をし続けていた。カウストンに入った酵母菌が、肺胞の細胞を犯して炎症が起きているそうだ。息を吸っても、酸素を取り込む肺胞が機能しないので、あんな苦しそうな呼吸になるのだ。一度潰れた肺胞は、再生しないので、諦めた方がいいと言われている。
 でも、俺の愛馬ポパイは、一度肺炎と診断され(俺のいないときに、許可しなかったひとが、脂汗をかいているポパイを3時間も走らせ続けた。その後、キチンとしたケアをする知識を持たなかったので、重症化させてしまったのだ。)、二度と治らないと言われていたのだが、去年の夏から休養させながら、徐々に運動をさせ続けた結果、今ではかなり運動しても、咳一つしない大丈夫な体になった。関係ないか?
 
 今日は、点滴をしてくれた。抗生物質入りの物だ。死に関しては言わなかったが
「肺に異物が入ったのだから、簡単には治らないよ!」
と言っていた。熱はちょっとだけ下がり、心なしか息の荒さも軽くなったような気がしないでもない。哺乳瓶に補液剤を入れて見せたら、自分からやって来て吸い付こうとした。でも、息が苦しく上手く吸えなかったため、結局カテーテルで飲ませた。生きようとする意欲はまだ衰えていなかった。
 昨日発情しているような行動をしているサチコとシゲヨを診せたのだが、
排卵した形跡でもないし、本当に発情していたのかわからないな!」
ということだった。確かに、マウンティングは盛んにしようとしていたが、スタンディングは一度も見ていない。疑似発情か?まだまだよくわからないことばかりだ!

 EMボカシの仕込みをやった。先日付けたものは、浅漬けのまま使っていたのだが、最近ようやくリンゴの香りがしてきた。子牛の目の色が違う。これをかけると、エサの食い込み方が、まるで違うのだ。下痢も減ったし、原価もほとんどかからない。かかるのは手間だけだ!

夜牛舎をやっていたら、蜜三郎が初めてエサ箱をあさった。哺乳瓶で補液剤を飲ませたら、半分くらいは頑張って飲んだ。残りはカテーテルで飲ませたが、これは生きるのではないだろうか?
 時間に追われる中、馬が脱走計画を練っていたので、あわてて牧草を追加してやり、妊娠牛の群れが
「腹減った〜!」
とうるさいので、山まで牧草を取りに行った。

 開始時間を間違えていたので、「瀬棚の医療を考える会」に間に合うことが出来た。そこで、我々が失おうとしているものの大きさを、改めて思い知らされた。