モモコの種付け 可愛い牛

 あまり興奮しすぎて、昨夜は眠れなかった。遅めの出勤。
 和次郎に墨団子を食べさせる時いつも、
「シャー!ベチャベチャ・・・」
と絶望的な下痢の音が聞こえたものだが、今日は。
「ボタボタ!」
という違った音が聞こえた。ちょっとだけ、粘性が加わったようだ。このまま、症状が良くなってくれればいいな〜!
 今日もせっせと糞出しだ!下痢が少なくなってきたので、敷きワラの汚れ方が少なくなってきた。結果が出てくると、俄然やる気が出る!糞出ししながら外を観察していたら、不穏な動きを見せていた育成牛達の中で、先日誕生日を迎えたモモコがスタンディングしていた。体格がちょっと小さめなので迷ったが、共済に電話して獣医さんを呼んだ。モモコを牛舎に繋ごうと迎えに行こうとしたら、自分から牛舎に帰ってきて、入り口で待っていた。ほぼ同じ体格のヤスヒメも一緒に帰ってきて、しかも発情していたが、彼女はまだ誕生日が来ないので、今回は見送る。妊娠鑑定のため、ツボミも繋ぐ。
 牛にも可愛いヤツと、可愛くないヤツがいる。モモコは、血統的にはそれほど良くない牛だが、どこまでも人懐っこく、いつ見ても可愛いヤツだ。朝、牛舎から出すときも、追い立てているのに、なかなか出ていかず、俺に尻を押されて嬉しそうだ。運動場でも、俺が行くと寄ってくる。まだ幼いモミジは、牛とは思えないほど頭が良く、俺が自分に注射しに来たのか、他の牛なのかすぐに見抜く。大丈夫と判断すると、撫でられに来る。以前は牛舎内を自由に走り回っていたが、追い回されて邪魔だから、ドアで閉め出したりしても、すぐに回り道することを覚えて困ったことがある。もうちょっと血統が良ければ、絶対に残すのだが・・・。こんなに頭が良いのに、なんで肉牛なんかに産まれてきたんだろうと思ってしまう。
 獣医さんが来て、モモコに種付けした後、ツボミを鑑定してもらったが、まだよく判らないそうだ。種付けしてから何日目かを、正確に言えなかったかららしい(台帳で調べずにみてもらった)。
 3ヶ月以下の子牛全員を検温した。病気の発生を抑えるために、ワクチンを打ってもらうつもりなので、予定日までに発熱している牛を無くさなければならないからだ。