晩白柚の皮の砂糖漬け完成 買い物 サチコ出産

 今日も、平和な天気のうちに、1日が始まった。雪が降らないと、ホッとする。牛達も、新牛舎ではなく、外でのんびり寝そべって、反芻している。
 蜜三郎と和次郎は、完全に食欲が戻り、元気そうだ。多恵太郎は相変わらず下痢で、獣医さんに2度目の輸血をされていた。血液のドナーはサチコだ。予定日より1週間もお産が遅れているので、繋ぎっぱなしだ。牛の血液型は、人間より多岐に分かれており、合致させるのが大変なので、輸血して抗体が作られる1週間以内にかたを付けてしまうという乱暴なものだ。3人娘にも、下痢止めの注射をした。
 農協で、昨年度の決算を出してもらったが、俺が予想していたより、全然大変なことになっていた!久しぶりに、買い物に行った。砂糖や牛乳、釘、鍋を買い、オージービーフもちょっとだけ買った。買い物は、お金がかかるので好きではない!
 晩白柚の皮を茹で、砂糖水で煮たお菓子が完成した。俺が子供の頃によく食べていた物だ。これまで、砂糖が少なかったので失敗していたのだ。久しぶりの味に、舌鼓を打つ。
 草架が空っぽになっていたので、夜牛舎前に牧草ロールを運動場に置いてやったが、みんな腹が減っていないようだった。サチコは、平和にエサを食べていた。産まれた子供を入れる場所が無いので、福三郎のワクの一部を仕切って使う事にしようなどと考えていた。
 8時半頃、晩飯のために、積雪1mの畑から水菜を掘った。棒を立てておかなかったので、ちょっと自信がなかったが、1発で掘り当てることができた。でも大変だった。
 すき焼き風の晩飯を食べ、満足した気持ちで日記を書こうとパソコン前に座り、一応ネットワークカメラを見たら
「産まれる!」
すでに足が出ている!あわてて作業服を着、タオルを持って出る準備をした。見ている間に、子牛は産まれてしまった。
 駆けつけてみると、子牛は尿溝でもがいていた。サチコを放してやり、子牛を舐めさせ、俺も乾草で体をこすってやる。いきなり立ち上がりそうなほどの、元気な雌だ。かなりでかい。タオルとドライヤーで体を乾かしてやり、適当に乾いたところで、毛布で作った牛衣を着せ、さらにドライヤーで乾かす。30分で立ち上がり、1時間で乳首に吸い付いた。子牛を思い通りに動かすのは大変である。押してやると押し返し、引っぱると・・・。口先を乳首に誘導すると、その手に吸い付き、乳首を認識するのに相当苦労する。ある程度満足した段階で、人工初乳も飲ませた。黒毛和牛の初乳はとても濃いのだが、絶対量が少なすぎることが多いのだ。昼間考えていた通り、福三郎のワクの一部を仕切り、分厚く敷きわらを敷いて、200Wの投光器で暖めてやった。帰ったら、1時過ぎだ。
 ネットワークカメラが設置される前は、お産が近づくと、2時間おきぐらいで牛舎と家との坂道を何度も往復したものだ。いい加減疲れて、今夜はいいだろうと寝てしまうと、そんな日に限って産まれるのだ。便利なものができた。
20年近い前の教え子から、ファックスが来ていた。大変な事件に遭いながら、元気に暮らしている様子がうかがえ、嬉しかった。