角切り 卵胞膿腫 合掌補修

 水落したはずの水道が、凍結していた。蛇口のヒーターに電源を入れていなかったからだ。電源を入れたら、すぐに復旧した。これから、氷の季節が始まるのだ。子牛の水も凍っているので、ぬるま湯に変えてやる。
アカリは、放してやると勢いよくマサコの乳首に吸い付いた。モミジは、オッパイをやった後も、ずっと俺の股間を突っつき回し、邪魔でしょうがない。しかし、狭い部屋に入れているので、ちょっと運動させないと可哀想だ。 
 今日は、青年団で角切りをする日だったので、ヒロミ、マルコ、ヒカリ、シゲヨを繋ぐ。ヒロミやマルコはなかなか捕まらず、ずいぶん走らされた。この後、青年団の人がやって来て、角切りしてもらった。角には血管が通っており、切り方によっては激しく血しぶきを上げるのだ。ヒロミとマルコの角は大きすぎて、ホルスタイン用の大きなカッターで切られ、激しく出血していた。
 俺が角切りをすると、牛達との関係が壊れてしまうのだが、人にやってもらうとそれが少なくていい。以前自分で切っていた頃は、マスク、ゴーグル、ヘルメットを着用し、香水をたっぷり着けて行ったのだが、牛は
「ヨネちゃんだ!」
とエサをねだって困ったものだ。隣の牛が着られて悲鳴を上げても、
「ヨネちゃんが、変なことをするわけないよね?」
つぶらな目で見つめられ、心が痛んだものだ。牛を押さえる人もいなかったので、切断面がキレイにならず、痛みも出血量も増えてしまっていたのだ。
 今日は、出血している牛の所に、乾草を持って行ったが、血塗れの顔で嬉しそうに草を食べた。
 ヒカリコが発情していたので、獣医さんを呼んだのだが、卵胞膿腫が再発していた。困ったものだ。
 午前中に、崩れ落ちた合掌を、ユンボで吊り上げて、全部回収した。午後からは、Yさんが手伝いに来てくれ、回収した合掌を、補修しながら積み上げていった。折れている部分には、1寸厚の板を打ち付けて補修して、10枚の合掌を補修し終えた。明日は、とりあえずこの10枚を上げて、空いたスペースで残りの合掌を補修することにした。
 合掌崩壊により傾いた柱を、ユンボと水平機を使って真っ直ぐに立て直し、支えを入れた。支え板の入れ方では、これまで知らなかった方法を学んだ。明日は、朝から合掌上げだ!
 角切りの為に、マルコとヒロミが、妊娠鑑定の取れていない牛の群に入ったため、牛舎に22頭の牛を入れることになってしまった。スタンチョンが20しか無いので、苦労して全頭繋ぐ。血の臭いに、みんな興奮していた。一握りの配合飼料を食べた後、ほとんどの牛達は雪の降る運動場に追い出されていった。牛舎が完成するまで辛抱してくれ!