幸次郎(牛タン)涙の出荷

 幸次郎の出荷のために、早起きしてエサと水をやる。昨日研いたのに、運古の上に寝たようで、しっかり汚れていた。改めて念入りにブラッシングしてやる。エサもたっぷり食わす。大好きだった糖蜜液も、哺乳瓶でチューチュー飲んだ。アッという間に4リットル飲み干す。糖蜜液は、運搬時のストレスを相当緩和してくれるそうだ。
 俺が市場に行くのは、勉強の為もあるが、市場で俺を見ると子牛がとてもリラックスするのだ。糖蜜をさらに2リットル作って、最後の別れにやってもらう。新しい畜主は糖蜜を哺乳瓶で与えたりしないだろうから、大奮発だ!家畜運搬車がやって来たが、幸次郎は落ち着いてゲートまで来た。いい人に買われて、あと2年、幸せに暮らすんだぞ!そしていい肉になれよ!
 一旦飯を食べに帰り、朝牛舎の続きをやる。あとから来ると思っていた奥様方は、掃除をしていたそうで、なかなか手伝いに出てこなかった。
 合掌が、男一人では持ち上がらないので、冬の運動場を電気牧柵で囲う作業をした。ずっと気になっており、これまでの運動場がドロドロになって、牛がとても気の毒だったから、とても良かった。解放してやったら、20頭の親牛が400kg以上の巨体を空中でくねらせて跳ね回っていた。
 妊娠鑑定を受けている6頭の牛達にも冬の運動場を囲ってやった。こちらは、堆肥舎内に入って寝られるように工夫した。牛舎建設が遅れたので、空っぽの堆肥舎内で寝てもらうしかないとの判断だ。俺もドロドロの運動場に毎日ロールを運んで行かなくて助かる。
 ミカンと元六郎には、念のためにエクテシンをやることにした。モミジが2リットルのミルクを一度に飲んだ。