大脱走 太りすぎ シャリバテ テイラー整備不良

　朝、嫌々起きて窓の外を見たら、500m先の丘の上に黒い影が！「また脱走だ！」ゴロウを引き連れ、トラクターで現地に向かう。雪解けが進むと共に、雪が締まっており、積雪１ｍある以上あるところを歩いて出ていったのだ。電気牧柵はまだ雪の下だ。牧草の新芽が出ているので、呼んでも帰ってこない。仕方なく、牧柵を漏斗状に広げ、ゴロウと一緒に追い込みにかかる。初め、南に走りはじめて焦ったが、ゴロウと協力して上手く追い込むことができた。ゴロウが口笛の合図だけで、全部集めたり追い込んだりしてくれたらいいのだが、俺にはそこまで調教する能力は無い。
　やっと牛舎に戻ったら、Ｓ獣医が待っていた。フクは太りすぎで妊娠鑑定ができなかった。ダイエットのため、遅刈りの牧草を用意しなければならない。朝牛舎作業を始めたら、隙をついて子牛が４頭も脱走した。なんで？急いでいるときに限って、いろいろ起こる。
　昨夜引き取った元四郎は、我が家のボス牛モトツボから取った受精卵を、ホルスタインに移植して産まれた子牛で、モトツボの血を引く４頭目のオスだ。ホルから産まれた子にしては小さかったが、モトツボの血を引くだけあって、ミルクの飲みは良く、哺乳瓶から勢いよく飲み、１リットルの初乳では足りなく、幸次郎に飲ませるつもりの代用乳まで飲んでしまった。
馬に水をやって、約束の１時にギリギリ滑り込む。けっこう人数が多く、昨日一人でやっていたところを、３人でやれた。仕事は楽だが、俺はパンを持参するのを忘れた。おやつが出なかったので、最後の方シャリバテになってしまい、体を動かすのが大変だった。みんなは、効率のいい体をしているので、必要ないのだろう。俺は間食を食べないと、腹が減って低血糖になり、体が震えてくるのだ。昼飯を腹一杯食うと、眠くなって仕事にならないし・・・。
　５時過ぎにようやく終わり、急いで帰ってパンをかじりようやく落ち着き、夜牛舎の作業に備える。義弟がテイラーを借りたいとやって来て、牛舎に押していき、苦労してエンジンをかけた。キャブを掃除しないとダメだろう。時間がとれないから、機械屋に頼むか？
　冷え込んだせいか、元四郎はミルクを飲み干せなかった。牛衣をもう一枚着せ、カイロを２つ背負わせた。