鼻紋取り 注射開始 トレッキング 見送り

 新雪が結構積もっており、ソリのスピードが乗らない。農協のMさんが、子牛の鼻紋取りに来た。取りながら、「子牛がでかいな!」と誉めてくれた。発酵床で、子牛の足下をチョロチョロ走る子豚を見て「なんだこりゃ!」と喜んでいた。受精卵移植で生まれた牛の血統検査と、異性複数産子の生殖能力検査のために、毛をむしっていた。来月出荷する牛がいると言うと、わざわざ車から降りて見に行き、「でかいな。良い牛だ!」と言ってくれた。
 朝のうちに糞出しまで終え、咳が気になったのでシゲヨと元太郎はマイシリンとネオアスを3日間注射する事にした。
 吹雪はますますひどくなったが、今日自分の☆に帰る宇宙人は、「トレッキングは?」と行く気満々だった。ご希望にお答えするべく、鉈とヤスリを持ってきて、ポパイの蹄鉄を外した。ソリに積んだ工具があっという間に雪に覆われる。
 鞍やパッドにも容赦なく雪が降り積もる中、3頭馬装し、念入りに蹄の裏を掃除し、採草地に向かって進んだ。先日より雪が深くなっており、先頭をラッセルしながら行くポパイは、自分のペースで一気に飛ばして行きたがった。しかし宇宙人を乗せた小さい歩幅のオリーブを待つため、ペースを押さえなければならない。勢いよく進もうとするポパイをずっと押さえながら進んだ。途中から電気牧柵の線を下ろして、またぎ越して放牧地に入ったが、風が強く引き返すことになった。ポパイに乗ろうとしたとき、ポパイがちょっと歩いたので怒ったら、日頃ポパイにいじめられているゴロウがここぞとばかりに吠えかかったので、びびったポパイがまだあぶみに片足を入れていないのに走り始めた。ここは落ち着いてゆっくり(でもしっかりと)手綱を絞り、だんだん片手綱だけ絞って馬をくるっと巻かせて止めた。すぐ側にいたオリーブは、「なにかしら?」という感じで、さわぐポパイを横目で見ながら、宇宙人のくれるおやつを食っていた。久々に人を乗せるブランカは、さすがにちょっと落ち着きがなかったが、そばにいるオリーブが落ち着いているので平静を保てた。もと来た雪道を下り、道路に戻ってから、隣のTさんの牛舎まで並足で行き、そこでエサをあげてから引き返した。この吹雪の中、宇宙人はよく文句も言わずに、なかなか上手に馬を御しながら乗っていたと思う。
 一服したらすぐに夜牛舎だ。宇宙人の帰る時間が迫っていたので、急いでやる。
 長万部まで送っていったが、期待していたラーメン屋も開いておらず、コンビニ弁当で食事を終え、無事送り出して、さっき帰宅した。家の中が急に静かになった。