5kgのホシガツオ

 昨日のリベンジだ!
 3500番のリールに3号のPEライン。ハリスは14号だ。カヌーでこぎ出すと、沖堤防の前で大きな魚が水面近くの餌を追っている。
 跳ねたところに大きめのジグを投げて素早く引いたら、追ってきた魚が俺の目の前で反転して、頭から大量の海水をかけてくれた。ものすごくでかい!
 二投目、落下した途端に強い引きがあり、カヌーごと沖に引きずられる。カヌーは2.5人乗りの大型艇なので、とても安定しているけど竿先を海中に引きずり込まれたまま、ドラッグはどんどん出て行くしカヌーは沖へ沖へ引っ張られる。
『何者だろう?』
 水深20mくらいの所でかけたのだけど、ヤツは海底に沿って沖に向かい、水深65m付近の海底でしばらく動かなくなった。根に巻かれたのだろうか? ドラッグを締めて耐えていたら、やがて絞めたドラッグを更に引き出しながら沖の深い所に向かって進み始めた。
 沖堤防前でかけて、もうすぐ恋人岬の先端だ。200mくらいは引きずられただろうか? 少しずつ抵抗が弱くなり、リールが巻けるようになってきた。ラインも回収が進み、もう少しで顔が拝めると思ったところで、急に軽くなってしまった。
 巻いてみたら、昨夜新しく換えたばかりの14号のハリスが、鋭く切れていた。
 カヌーを引っ張る速さとかスタミナから考えると、鮫では無いと思われる。磯マグロのような歯のある魚が、ルアーを丸ごと飲み込んで歯に当たったのでは無いかという推測が、有力だった。
 
 そんなことは、後から考えたことなのだけど、とりあえず元の沖堤防前に引き返し、魚が湧いたところにキャストすると、一発で食ってくる。
 先ほどとは比べ物にならないけど、小気味よい引きの後に、60cmほどのツムブリが上がってきた。
 
 次のキャストも、一発で食ってきた。
 再び海底に潜り込んだその魚は、沖へ沖へとカヌーを引きずっていく。
 だが、今度は50mほど引っ張られたところでリールを少しずつ巻けるようになってきて、慎重にやりとりした後に上がってきたのは、5kgのホシガツオだった。