シャークアタック再び!

 とりあえず、下半身だけでもボーダー柄になったので、海に潜ってみることになった。
 朝のルーティンワークを終えて、急いで着替え、小坂本に向かった。5mmのウエットスーツは、とても暖かいのだけど、胸から肩の部分が苦しい。
 水は濁っており、透明度は5〜8mくらい。波もけっこう荒かった。キビナゴは全く見えず、それを狙う回遊魚も見当たらない。アオブダイニザダイメジナ、フエフキダイなどが、多数泳いでいた。
 欲しい魚が居ない! 鮫は怖かったが、そろりそろりと移動して、結局いつものポイントまで行ってしまった。ヒラマサの群れが、射程のはるか外側を通り過ぎていく。数百匹のメジナの群れが、俺の視界をさえぎった。大型なので、銛で突くことも可能だったが、視界の外側に嫌な予感を感じていたので、手を出さずに帰ってきた。
 帰り道も、前後左右を頻繁に警戒して、不意打ちを食らわないようにした。
 大きなスジアラを発見! 近づこうと思ったが、警戒されていて潜ると速やかに岩の下に潜り込む。4mもある俺の銛では、岩の下を突くのは困難だ。しばらく待っていたら、また出てきたので・・・別な岩の穴に潜り込まれてしまった。
 気がついたら、かなり深場まで誘い出されていて、身を隠すものは何もない所だった。俺の周りを、アオウミガメが珍しそうに何周も回って観察していた。
 ユカタハタの大型の個体を発見! 水深、15mくらいの所で、もう一匹のユカタハタに気を取られている。一応、鮫の姿が見えないのを確認してから、潜り始める。完璧に射程に入れたのだけど、突く直前にもう一匹現れたハタに気を取られ、突き損ねてしまった。
 ここで、急に気持ち悪くなって、吐いてしまう。ウエットスーツがちょっときついのもあるけど、透明度の悪い深い海に浮いている事に、ものすごく嫌なプレッシャーを感じ、耐えられなかった。急いで浅場に帰る。そして、もうすぐ上がり口の所で、おかずにメジナを突き、えらを取った瞬間、目の前に2.5mのオオメジロザメが現れた。動きが速く、とても興奮しているのがわかった。銛で突いて、接近しないように牽制し、息が出来ないのもかまわず、バックで岸に逃げた。
 
 とりあえず、無事だった。はたして、鮫避けのボーダー柄は有効だったのだろうか? それを確かめることは出来なかった。鮫は、メジナの血に反応してやってきて、メジナが欲しくて接近してきたけど、銛で突かれて距離を取った。近くには居たけど、攻撃は一度だけだった。俺とメジナの距離は5m位だったので、その気になったらメジナだけを奪い取ることは可能だったと思うけど・・・。良くわかない。岸際での攻防だったけど、あの深場でスジアラやユカタハタをもしも捕って、そこで攻撃されたら、どうなっていたのだろう?
 激しく疲れてしまって、午後の仕事は休ませてもらった。