スキシャブ

 牛にも、物覚えの良い天才もいれば、いつまで経っても覚えられない牛もいる。
 哺乳ロボットの吸い付きだけど、早い牛は一度教えただけで、完璧に覚えてしまう天才もいる。通常一日あれば覚えるし、長引く牛でも二日目には吸い付けるようになる。
 ところが、光七郎は枠場に入れても、哺乳ロボットの乳首を認識するのに四日もかかってしまった。俺は、日に何度もロボット小屋を訪れ、その度に光り七郎をロボットに吸い付かせなければならなかった。体格は良い牛なんだけど・・・。
 
 O君に、スキシャブをご馳走した。
 身長は俺より数センチしか違わないのに、体重が20kgも軽いO君は、お腹をすかせてふらふらしていることがある。うちは肉体労働なので、それでは仕事にならない! こういう時は、お肉に限るでしょ?
 黒毛和牛だけど、たぶん経産牛の細切れを用意して、つゆだくな割り下でささっと食べる分だけ加熱して、すぐにいただく! 最初から肉を入れるすき焼きと比べ、加熱時間が短いので、肉汁も甘い脂肪も残っていて、肉本来の美味しさを堪能できる。牛飼いおすすめの食べ方だ!
 今日は和牛入門編の肉だけど、そのうち本物のすごい和牛を用意するからね(^_-)−☆