避難訓練

春香太郎を、哺乳ロボットに入学させた。枠の中に入れてやると、センサーで反応して出てきた乳首に、自分から吸い付いていた。お利口さんだ!
 
 硫黄岳の噴火を想定した、避難訓練があった。
 それに伴い、訓練が始まる時間前に、職場である牧場ではなく、家で待機することになった。大急ぎで仕事を一段落させて、サイレンが鳴るのを待つ。
 サイレンが鳴ったら、班別の集合場所に集まり、センターに移動した。
 訓練後、反省会があった。
 三年前の大震災の時、俺は防災無線が聞こえない牧場で働いていて、地震津波も知らなかった。硫黄島では、津波の恐れがあるからと言ってみんな避難していたのだけど、何にも知らない俺は家に帰るところだった。その体験を話し、訓練のために家で待機するのではなく、職場にいても避難の指示が届くような訓練が必要なのではないかと提案させてもらった。とりあえず、牧場地区にも、防災無線が必要という話しになった。
 俺としては、避難しなくても良い生活が続くことを願っているのだけど・・・。災害が起きて避難しなければならなくなったとしても、牛や馬を連れて行けない可能性が高いから・・・。
 
 ツバメが渡ってきていた。