曽於市場見学

 出航すると思っていた昨日でさえ欠航したのだから、もっと荒れた今日は、当然欠航だった。
 欠航になる事が予想されていたので、欠航だったら曽於市場に行ってみないかと誘われていた。もちろん快諾したのだが、こんなにつき合ってもらって良いのだろうか? 
 
 約束の時間まで、宿のキッチンでおしゃべりをした。
 20歳から41歳の三人の娘を持つというご婦人は、単身で屋久島に移住したそうだ。旦那さんや娘さん達は、東京・・・。友人達は皆、大反対だったとか・・・。
 それでも、家族が納得していて協力も得られているなら、短い自分の人生で、やりたい事をやっても良い!と俺は思う。重い腰を上げることも出来ず、やりたかったことの不満を、周りにぶつけるよりよほど幸せだと思う。ときには失敗することもあるけど、事故責任として受け止め、対処していけば良い。そうやって、一生懸命積極的に生きている人が好きだ。
 
 雨の中、向かえに来てくれた。高速で、曽於市場に向かった。
 曽於市場は、鹿児島中央市場より大きく、綺麗だった。競り前の牛を繋ぐ場所も、とても明るく広かった。競り終えた牛を入れる場所は、更に広くて整備されていた。
 競りを見たら、60万円超えが連発していて、鹿児島中央市場より高いと感じた。血統的には、『隆之国』がとても多く、良い値がしていた。『隆之国』は欲しいと要望したけど、全然手に入らない人気の精液だ。
 今日、ここに来た目的の一つに、隆之国を持っている牧場主さんに紹介してもらい、種を手に入れるというのがあった。種は分けてもらえることになったのだけど、一応役場に相談してみたら、一月にいくらか分けてもらえることになっていたそうで、そんなときに俺が個人的に取引すると、ちょっと問題が起こることもあるって聞き、今回は見送ることになった。
 それでも、今日の曽於市場見学は、とても有意義なモノであった。