イタチごっこ

 何度も言うが、秋から冬にかけて、牛の脱走と柵修理はイタチごっことなる。放牧地の餌が少なくなるからと、硫黄島は亜硫酸ガスでバラ線の痛みが早く、そういう所に脱走名人の牛が乗っかると、簡単に柵は破られてしまうのだ。
 見回りをしていたら、5頭の牛が採草地を走っているのが見えた。幸いうちの牛では無かったのだが、すぐ近くにはラップしたロールが積んであり、これに悪戯されてラップを破られたり崩されたりしたら、大損害だ。
 ゴロウとカイトに指示をしながら、追い始める。細かな指示は出来ないけど、だいたいの方向には追ってくれるのだ。
 柵の一部を開けて、美味く追い込んでやった。だが、どこから出たのか確認しないまま、飼い主さんに電話をしたけど繋がらなかった。直後に、ロールを運んでいたら、先ほどの5頭が出てくるところが見えた。
 大急ぎで追い戻し、出てきた箇所を応急処置して、飼い主さんに場所を伝えた。