寿司パーティー

 魚を捕るために、片道40分もカヌーを漕いでいくことに対し、なんでそんな苦労するの?って反応が多いのに驚く。俺は、群馬で教員をしていた頃、毎月1〜2回は片道4時間以上かけて西伊豆まで車を飛ばしていた。あの頃は、一日に捕って良い魚を一匹と自主規制していたので、たった一匹の石鯛を捕るために、それだけの時間をかけていた。たった40分のところに、超一級のダイビングポイントがあるのだから、俺にとっては全然苦にならないのだけど・・・。
 昨日捕った魚を消費するために、友達を呼んであった。だけど、今夜も盆踊りがあるので、8時までには終わらなければならない。今夜のメインディッシュはにぎり寿司なのだけど、開始時間を早めた。
 いずみから、お産の段取り通報が来ていたので、今日中には生まれると思っていた。出来れば、日中に生まれて欲しいと思っていたけど・・・。
 
 お客さんのために、夕方になると俺はそわそわする。人数が多いから、準備に時間がかかるのだ。
 酢飯のためにお米を炊き、寿司酢を調合し、寿司ネタを用意する。全ては、何となく・・・。
 6時から、握り始める。かなり意識しても、酢飯を取りすぎてしまい、大きなにぎり寿司になってしまう。途中から、他の人も手伝ってくれる。わさびを入れ忘れたり、わざとたっぷり入れてみたり・・・。
 俺は、そのアタリ寿司の姿を覚えているから、大丈夫なのだ。ひたすら握り、8合の白米酢飯と、3合の玄米を、全部握り終えた。
 
 早速食べ始めた。
 寿司は、更に進化したかな? ハタとツムブリとメジナの寿司。アカジョウの吸い物は、魚の身がとても美味しく、出汁もきいてご馳走だった。
 
 盆踊りの時間になったのだけど、俺は牛から一次破水したとメールがあったので、急いで牛舎に向かった。
 破水から一時間ほど経っていたのだけど、子牛はすでに産まれていた。だけど、足腰が弱く、セレン欠乏症気味に見えた。急いでへその緒を消毒し、セレン製剤を注射し、人口初乳を飲ませる。明日までに、立ち上がれるかな?
強く大きく育って欲しいという願いを込めて、なぎさ命名した。